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【わかりやすい】連結会計について解説①〜連結財務諸表、連結範囲とは?

M&A

今回は、連結会計について解説を行なっていきたいと思います。

連結会計は、今となっては当たり前の会計処理となりました。
私が簿記を勉強していた時は、連結会計は簿記1級の試験範囲でしたが、今となっては簿記2級の試験範囲となっているそうです・・・。
また、皆さんが知っているような有名な会社はほとんどが連結会計を行なっています。
そんな連結会計について、

・そもそも連結会計って?
・連結会計についてよくわかっていない
・連結会計ってなんで必要なの?

という方に連結会計についての概要を解説していきたいと思います!

連結会計とは? 連結財務諸表とは?

連結財務諸表を作成するための会計処理のことを連結会計といいます。

連結財務諸表とは、

支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するもの

です。

簡単に言い換えると・・・

親子関係にある会社を一つのグループとみなして、そのグループの財務諸表を作成したもの

を連結財務諸表といいます。

イメージとしては、図の通りです。親子関係にある会社において、親会社(P社)、子会社(S社)それぞれ単体で作成する財務諸表を個別財務諸表といい、親子関係をまとめて一つのグループ(P社連結グループ)として作成する財務諸表を連結財務諸表といいます。

この連結財務諸表の作成について、単純に個別財務諸表を合算して作成できるものではなく、さまざまな調整を行う必要があります。

例えば、子会社に対し親会社から貸付を行なっている場合、子会社では借入金(親会社では貸付金)がBS(貸借対照表)に計上されますが、連結グループ全体でみた場合には、この取引は単なる内部取引であり、連結財務諸表では借入金は計上されないように修正しなければなりません(連結グループ外部から借入は行なっていないため)。

こういった連結財務諸表作成のために必要な調整(修正)仕訳のことを連結会計(連結仕訳、連結修正仕訳)といいます。

連結仕訳について

連結仕訳の代表的なものとして以下が挙げられます。

・投資と資本の相殺消去
・債権債務の相殺消去
・未実現損益の消去
・連結会社間の取引高の相殺消去
・当期純損益の按分
・のれんの償却 など

■ 投資と資本の相殺消去
親会社が子会社に行なっている投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定の相殺消去を行う仕訳です。親会社の子会社に対する投資勘定として親会社の個別財務諸表上、「子会社株式」が計上されています。それに対し、子会社の個別財務諸表上、「資本金」などの資本勘定が計上されています。これら親子会社間の投資と資本の相殺消去を行う必要があります。

■ 債権債務の相殺消去
親会社と子会社間で債権債務を有している場合に連結財務諸表作成上、その債権債務の相殺消去を行う必要があります。例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、親会社の個別財務諸表上、子会社に対する「買掛金」が計上されています。一方で子会社の個別財務諸表上、親会社に対する「売掛金」が計上されており、これら親子間の債権債務の相殺消去を行う必要があります。

■ 未実現損益の消去
例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、子会社は利益をのせて親会社に商品やサービスを販売しています。この場合、子会社の個別財務諸表上では、利益を計上しても問題ありませんが、連結グループでみた場合、親会社への販売は利益が実現していない(単なる内部での移動となる)ことからこの利益のことを「未実現利益」といい、この「未実現利益」の消去を連結財務諸表上は行う必要があります。

■ 連結会社間の取引高の相殺消去
こちらは債権債務の相殺消去と似ていますが、親子会社間で行なった取引について相殺消去を行う必要があります。例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、親会社の個別財務諸表上、子会社に対する「売上原価(仕入)」が計上されています。一方で子会社の個別財務諸表上、親会社に対する「売上」が計上されており、これら親子間の取引の相殺消去を行う必要があります。

■ 当期純損益の按分
後ほど解説を行いますが、子会社とは、親会社に100%支配されている会社だけではありません。支配率が80%など、親会社の他に別の株主が存在する場合もあります(この別の株主のことを「非支配株主」といいます)。100%支配でない子会社の1年間の利益について、別の株主と利益を按分する必要があります。

■ のれんの償却
親会社が子会社を取得(支配を獲得)するとき、投資した金額と子会社の資本の差額を「のれん」といいます。この「のれん」について基本的には、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却を行う必要があります(重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができます)。

連結仕訳の概要について簡単に解説しました。
この他にも連結仕訳はたくさんあります。長くなりすぎるため詳細についてはまた別の記事にて解説します。

連結の範囲について

ここまで連結とは、親会社と子会社を一つのグループとしてみなすことと説明してきましたが、100%支配でない場合の会社も子会社に該当する場合があります。

・そもそも子会社とはどこからなのか?
・連結の範囲とは?

について解説していきたいと思います。

■ 子会社とは?

子会社とは、

株主総会などの意思決定機関(財務及び営業又は事業の方針を決定する機関のこと)を支配されている企業

のことをいいます。

そもそも支配とは・・・?

支配している企業とは次の(1)〜(3)のいずれかに該当する企業のことをいいます。

(1)他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有している企業

(2)他の企業の議決権の100分の40以上、100分の50以下を自己の計算において所有している企業であって、かつ、次のいずれかの要件に該当する企業
① 自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めていること
② 役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の企業の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること
③ 他の企業の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
④ 他の企業の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているもの)の総額の過半について融資(債務の保証及び担保の提供を含む。以下同じ。)を行っていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)
⑤ その他他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること

(3)自己の計算において所有している議決権(当該議決権を所有していない場合を含む。)と、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めている企業であって、かつ、上記⑵の②から⑤までのいずれかの要件に該当する企業

実務で一番多いパターンは、(1)の議決権の過半数(50%超)を有している場合だと思います。
ですので、基本的に子会社とは議決権の50%超を持たれている会社のことと覚えておき、50%超を持っていない場合でも緊密な関係があることにより実質として議決権の過半数を有しているような場合でも子会社に該当すると覚えておくと良いでしょう。

■ 連結の範囲について

原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めるとされています。

連結財務諸表を作成する上で、どこまでを連結の範囲とするかが決められており、すべての子会社が連結の範囲の対象となっています。しかし、子会社のうち

・支配が一時的と認められる企業
・連結することにより利害関係社の判断を著しく誤らせる恐れのある企業

については、連結の範囲に含めないとされています。
また、子会社のうち、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができます。

連結に含めては”いけない会社”と含めないことが”できる会社”では異なるため注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、連結会計についての概要について解説しました。

連結財務諸表と個別財務諸表とでは作成する上での前提が変わってきますので、連結とはなんなのかを理解して会社が公表している連結財務諸表を見ると見えてくるものが変わります!

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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