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【わかりやすい】有価証券報告書の読み方について解説③ 後半部分(経理の状況)について解説

会計

今回は有価証券報告書の読み方について解説していきたいと思います。

有価証券報告書は、上場会社が年に1回、会社の業績や従業員の情報などの幅広い情報を開示しているものとなります。そのため、有価証券報告書に記載されている内容を理解することができれば、その会社に対して深く知ることができるのです。

そんな有価証券報告書について、構成やどういった情報が記載されているか解説を行なっていきたいと思います。

前回の記事についても是非チェックしてみてください。

有価証券報告書の全体像

前半部分に会社の事業の内容や関係会社の状況、コーポレートガバナンスの状況など会社の情報が記載されており、後半部分である【経理の状況】に会社の決算書である「財務諸表」が記載されています。
今回は、後半部分である【経理の状況】について解説していきます。

経理の状況 実例

■ 経理の状況
ここでは、会社の決算書である「財務諸表」について記載されている箇所となります。
連結グループとなっている会社については、連結グループとしての決算書である「連結財務諸表」と単体の決算書である「財務諸表」の2つを記載する必要があります。

子会社を有しているような会社については、子会社を含めた企業集団を一つの組織(連結)とみなして、企業集団全体で作成する財務諸表のことを「連結財務諸表」といいます。

■ 連結財務諸表と財務諸表について

「日本テレビホールディングス」の場合、持株会社化しているため、皆さんが馴染みの深い「日本テレビ放送網(日テレ)」は「日本テレビホールディングス」の子会社となっています。

上場しているのは、持株会社である「日本テレビホールディングス」であり、有価証券報告書を提出しているのは、「日本テレビホールディングス」です。

そのため、子会社である日テレ(日本テレビ放送網)の財務諸表は公開されていません。

しかし、持株会社の連結財務諸表は、連結グループ全体の財務諸表を表しているため、「日本テレビホールディングス」の連結財務諸表を見ることによって日テレ(日本テレビ放送網)のおおよその状況も把握することができます。

たくさん子会社があるといってもやはり連結グループのうち、メインを占めているのは日テレ(日本テレビ放送網)であるからです。

なお、「日本テレビホールディングス」が有価証券報告書にて公表している「財務諸表」はあくまで「日本テレビホールディングス」の単体の決算書となります。

■ 連結財務諸表の実例

連結財務諸表は、基本的に以下の構成となっています。

・連結貸借対照表
・連結損益計算書
・連結包括利益計算書
・連結株主資本等変動計算書
・連結キャッシュ・フロー計算書
・注記事項
・連結附属明細表

有価証券報告書は、当期と前期の2期間の財務諸表が開示されます。
これにより、売上は増えたのか、資産の状況はどうかといった当期の決算の状況がよりわかりやすくなります。

決算書の読み方については、こちらの記事を参照してください。

有価証券報告書における注記について

有価証券報告書における注記について解説していきます。
有価証券報告書において必要な注記は、計算書類で必要な注記とほぼ一緒ですが、異なる箇所もあります。

■ 有価証券報告書の注記事項と計算書類の注記事項対応表

有価証券報告書計算書類
継続企業の前提に関する事項継続企業の前提に関する注記
連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及び連結の範囲又は持分法の 適用の範囲の変更に関する注記
会計方針の変更等会計方針の変更に関する注記
未適用の会計基準等
会計上の見積りの変更会計上の見積りの変更に関する注記
会計上の見積り会計上の見積りに関する注記
修正再表示誤謬の訂正に関する注記
表示方法の変更表示方法の変更に関する注記
追加情報その他の注記
連結貸借対照表関係連結貸借対照表に関する注記
連結損益計算書関係
連結包括利益計算書関係
連結株主資本等変動計算書関係連結株主資本等変動計算書に関する注記
連結キャッシュ・フロー計算書関係
リース取引関係
金融商品関係金融商品に関する注記
有価証券関係
デリバティブ取引関係
退職給付関係
ストック・オプション等関係
税効果会計関係
企業結合等関係
資産除去債務関係
賃貸等不動産関係賃貸等不動産に関する注記
公共施設等運営事業関係
セグメント情報等
関連当事者情報
開示対象特別目的会社関係連結の範囲に関する注記
1 株当たり情報1 株当たり情報に関する注記
重要な後発事象重要な後発事象に関する注記

こう見ると、有価証券報告書にて必要な注記の方が断然多いことがわかりますね。

有価証券報告書の注記 実例

ここから実際に、2021年3月期の「日本テレビホールディングス」の有価証券報告書注記をもとに解説していきます。注記の全てを解説すると膨大な量となってしまうため、連結財務諸表注記の特徴的な一部について解説して行こうと思います。

■ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項

ここでは、連結の範囲に関する事項、持分法の適用に関する事項、連結子会社の事業年度に関する事項、会計方針に関する事項など連結財務諸表作成のための基礎となる事項について記載する箇所となります。

連結子会社の事業年度を記載する趣旨は、特に海外の会社は、決算日が12月末であることが多く、日本の親会社の決算(3月末)とずれていることが多いです。日本の会計基準では、決算期ずれが3ヶ月以内の場合、その期間に行われた重要な取引について調整を行えば、子会社の決算書をそのまま取り込むことができることとされているためです。

■ 重要な会計上の見積り

ここでは、連結財務諸表に計上した会計上の見積りのうち、翌事業年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものを識別した場合には、会計上の見積りの内容や、金額、見積に用いた主要な仮定、与える影響を注記しなければなりません。
ティップネスの減損について記載してありますね。

■ 追加情報

ここでは、決まった事項を注記するものではなく、その他に、必要と認められる事項があるときに注記を行うものとなっています。
2020年、2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響について記載している会社が多いです。

■ 未適用の会計基準

ここでは、既に公表されている会計基準等のうち、適用していないものがある場合に、当該基準の名称、概要、適用日、財務諸表に与える影響を記載する注記となります。

■ 連結損益計算書関係

ここでは、連結損益計算書に関する注記を記載します。基準で求められている注記としては、棚卸資産の帳簿価額の切下げに関する記載や、研究開発費の注記、主要な販管費項目の注記、減損損失に関する注記などがあります。
「日本テレビホールディングス」の記載には、子会社であるティップネスの減損損失についての記載がありました。

■ セグメント情報

ここでは、会社の事業単位(セグメント)の概要や売上、利益、資産の状況などを記載する箇所となります。事業単位(セグメント)の切り口は会社によって異なり、商品・サービスごとに設定している会社もあれば地域ごとに設定している会社もあり様々です。
「日本テレビホールデイングス」は行なっている事業を3つほど(メディア・コンテンツ事業、生活・健康関連事業、不動産関連事業)に分け、セグメントを設定しているようです。

■ 関連当事者情報

ここでは、関連当事者との取引を行なっている場合に、その重要なものについて、取引の内容や関連当事者との関係、取引条件などを記載し、どちらかに有利、不利な取引を行なっていないか記載する箇所となります。
「日本テレビホールデイングス」は該当事項がありませんでした。

■ 重要な後発事象

ここでは、重要な後発事象(連結決算日後、会社の業績に重要な影響を及ぼす事象)が生じた場合に記載する箇所となります。
「日本テレビホールデイングス」は該当事項がありませんでした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は有価証券報告書の記載のうち、後半部分(経理の状況)の読み方について解説しました。

有価証券報告書の読み方について3回に分けて解説を行なってきましたが、少しでも理解が深まっていると嬉しいです。上場会社であれば、有価証券報告書を必ず年に1回は提出していますので、気になる会社があればHPもしくはEDINETで調べてみてください!

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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