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【わかりやすく】資産除去債務のポイントを解説①〜退去を予定していない場合でも計上すべき?〜

会計

今回は、資産除去債務についてのポイントをわかりやすく解説していきます。
退去を予定していない場合の資産除去債務の見積り方法についても解説していますので最後までチェックしてみて下さい。

解説する基準

・資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号)
・資産除去債務に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第21号)

基準の概要

用語の解説

資産除去債務とは撤去費用や原状回復費用など、有形固定資産を除去する際に生じる、法令や契約によって決められている費用、負担のことを言います。

資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号)

3項(1)「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる。

この基準の趣旨は、有形固定資産(土地や建物)を取得した際、建設した際に、将来その固定資産を撤去する費用負担が契約上決められているのであれば、その義務が発生した時点(=固定資産を取得した時点)で将来の費用(=負債)として資産除去債務を認識するべき!・・・ということです。

例)
A法人が新しく事務所を開設し、あるテナントの1室を借りました。

そこで賃借した部屋を使いやすいように、パーテーション(部屋の区切り)や壁紙など、その法人用のレイアウトに変更しました。しかし、賃貸借契約書には原状回復義務(退去時には借りた時の状態にして返す必要がある義務)が記載されているために、退去時にはレイアウト(パーテーションや壁紙)を撤去して、借りた時の状態にして返さなければなりません。
こういった場合に資産除去債務の計上が必要となります。

(借方)(貸方)
建物(附属設備)     XXX資産除去債務      XXX

資産除去債務の計上額は、以下の方法にて算定します。

資産除去債務の算定
6.資産除去債務はそれが発生したときに、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定する。

⑴ 割引前の将来キャッシュ・フローは、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づく自己の支出見積りによる。その見積金額は、生起する可能性の最も高い単一の金額又は生起し得る複数の将来キャッシュ・フローをそれぞれの発生確率で加重平均した金額とする。将来キャッシュ・フローには、有形固定資産の除去に係る作業のために直接要する支出のほか、処分に至るまでの支出(例えば、保管や管理のための支出)も含める。

⑵ 割引率は、貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引前の利率とする。

契約上、撤去・退去した際の費用負担が決められているのであれば(取得した時点でその義務が発生しているのであれば)取得した時点に資産除去債務の計上が必要というのがこの基準となります。

退去を予定していない場合の資産除去債務の会計処理

では、ここからが今回の本題です。

撤去・退去する時期が明確に決まっていない場合でも資産除去債務を計上しなければならないのでしょうか。

結論としては、撤去・退去時期について合理的に見積もることができない場合には資産除去債務の計上を行う必要はありません(見積もることができるようになった時点で計上すれば良い)が、合理的に見積もることができない場合ということは、実務上はほぼなく、何らかの見積もりを行うことによって資産除去債務の計上をしなければなりません。

基準では以下の箇所が参考になります。

資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号)
5.資産除去債務の発生時に、当該債務の金額を合理的に見積ることができない場合には、これを計上せず、当該債務額を合理的に見積ることができるようになった時点で負債として計上する。その場合の負債の計上の処理は、第10項及び第11項に準じる。

資産除去債務に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第21号)
17.資産除去債務の履行時期や除去の方法が明確にならないことなどにより、その金額が確定しない場合でも、履行時期の範囲及び蓋然性について合理的に見積るための情報が入手可能なときは、資産除去債務を合理的に見積ることができる場合に該当する。例えば、キャッシュ・フローの発生額は確定していないが、キャッシュ・フローの発生確率の分布が推定可能であるために当該発生額の見積りが可能な場合には、資産除去債務を合理的に見積って、負債として計上することが必要と考えられる(第2項参照)。

撤去・退去時期が明確に決まっていない場合でも、取得した固定資産について、減価償却を行うケースがほとんどであると思います。

減価償却は一定の耐用年数に基づいて償却を行うため、その固定資産を使用する年数を見積もっていることとなります。

そのため、資産除去債務の計上における撤去・退去時期のみを見積れないということは考えにくく、減価償却にて使用している耐用年数に準じて退去時期を設定するなど、何かしらの合理的な根拠にて退去時期を見積もり、資産除去債務を計上することとなります。

実務上は、固定資産の耐用年数に合わせるケースや、他の拠点の退去年数の平均値を取るなど、一定の合理性に基づいた退去時期を算定し、資産除去債務を計上しています。

資産除去債務のポイント解説②もありますので是非チェックしてみて下さい。

個別のご相談はコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)にお願いします!ではでは!

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