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【わかりやすく!】外貨建取引の会計基準を解説③〜在外支店の換算方法について

会計

今回は外貨建取引の会計基準の3回目です。海外にある在外支店の換算方法を解説していきます。

コロナ禍ではありますが、グローバル化が進んでいる世の中では海外に支店を持っている会社、これから海外進出をする会社も多いと思います。

本支店会計を適用する場合の在外支店の換算方法にはいくつか留意点があるので、しっかりとおさえていきましょう!

早くコロナが落ち着いて自由に海外に行ける日が来るといいですね。

前回の外貨建取引の記事では為替予約の処理について解説していますのでよろしければこちらもチェックしてみて下さい。

また、在外子会社の換算方法については連結会計の記事で解説を行っていますので、「支店ではなく、子会社の換算方法を知りたい!」という方はこちらをどうぞ。

在外支店の財務諸表項目はどのレートで換算する?

「外貨建取引等会計処理基準」では、在外支店の外貨建取引は原則として本店で適用した為替レートと同様に処理することが求められています。一方で、外国通貨で作成されている在外支店の財務諸表をベースとして本支店合併財務諸表()を作成する場合には、以下の方法で換算を行うことが出来ます。

※本支店会計を適用して本店と支店の財務諸表を合算して作成するもの。親・子会社の連結財務諸表とは作成方法が異なる。

1. 収益及び費用の換算の特例
収益及び費用の換算(前受収益等の収益化額及び前払費用等の費用化額は除く)については、期中平均為替相場を用いることが出来ます。
2. 外貨表示財務諸表項目の換算の特例
非貨幣性項目の額に重要性がない場合には、全ての貸借対照表項目について決算時の為替相場を用いて換算することが出来ます。この場合、損益項目についても決算時の為替相場で換算することが可能です。

「非貨幣性項目の額に重要性がない」場合にはこの方法を利用することが出来ます。非貨幣性項目とは、現在投資されている状態にある項目のことを言い、前払費用、棚卸資産、有形固定資産が該当します。

非貨幣性項目を原則的な方法と上記2.の特例を用いて換算した場合の差額が利益剰余金に与える影響金額に基づいて、重要性の有無を判断することとなります。

また、重要性の判断は換算の特例の採用を予定している全ての在外支店の影響金額の合計額で判断することになりますので、在外支店を多く抱えているような会社では特に注意が必要です。

この重要性については具体的には〇〇%といったような数値基準が設けられていませんので、不安がある場合には監査法人や会計士に確認すると良いでしょう。

3. 換算差額の処理
本店と異なる方法により換算することによって生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理します。

在外支店の換算で利用するレートをまとめると

在外支店の財務諸表項目の換算に利用するレートをまとめると以下のようになります。

(在外支店の財務諸表項目の換算-原則法)

内容換算対象
HRHistorical Rateの略。取引発生時のレートを指し、
非貨幣項目などの換算で使用します。
1. 外貨建取引の当初認識
2. 非貨幣項目(前払金・前受金・
棚卸資産・固定資産など)
3. 外貨建有価証券(子会社株式・
関連会社株式など)
CRCurrent Rateの略。決算時のレートを指し、
外貨建金銭債権債務などの貨幣項目の換算で使用します。
1. 貨幣項目(貨幣・預金・売掛金
・買掛金・貸付金など)
2. 外貨建有価証券(売買目的有価証券・
満期保有目的債権・その他有価証券)
3. 非貨幣性項目の額に重要性がない場合の
本支店勘定を除く全ての資産負債
(前項参照、容認規定)
ARAverage Rateの略。期中平均レートを指し、
償却原価法の償却額などの換算で使用します。
1.収益費用
(前項参照、容認規定)
2. 有価証券・社債など、償却原価法適用時の
償却額
(参考:仕訳・会計処理の総合サイト 仕訳NET http://仕訳.net/?p=6775

原則としては本店で適用した換算レートと同様に処理することとなりますが、容認規定を採用した場合には本店のレートと異なり、為替差損益が発生する場合があります。

上表と前々回の記事を合わせて確認してもらえると、より理解が深まると思いますのでお時間のある方はぜひチェックしてみて下さい。

在外支店の財務諸表の換算手順

続いて、在外支店の財務諸表の換算手順についてです。在外支店の財務諸表の換算を行う場合には①貸借対照表⇨②損益計算書の順に換算を行う必要があります。

簿記の問題を解く際など、この順番を誤ってしまうと為替差損益の金額等を正しく算出出来ませんので気をつけて下さいね。

1. 在外支店の貸借対照表の資産・負債を換算し、差額で当期純利益を求めます。
この時、支店で計上される本店勘定は本店の支店勘定の円貨額と同額とします。
2. 貸借対照表で算出した当期純利益の円貨額を損益計算書に転記し、損益計算書上の収益費用の換算を行います。
3. 損益計算書上の当期純利益と収益費用の差額は為替差損益として計上します。

数値を用いたイメージ図は以下となりますので参考にして下さい。

【例】※なお、通常の収益・費用項目にはARを用いることとします。

発生日レート(HR)=80円/ドル

決算日レート(CR)=100円/ドル

期中平均レート(AR)=90円/ドル

※BSの本店勘定は本店で計上されている支店勘定の円貨額を転記するため、レートは未記載です。

まとめ

如何でしたでしょうか。

在外支店は、原則として本店に倣って換算をしていけば問題ありませんが、いくつか特例処理もありますのでしっかりとおさえておきましょう。

最後に今回のポイントをおさらいです。

・在外支店の外貨建取引は原則として本店で適用した為替レートと同様に処理する。

・収益及び費用の換算には期中平均レートを用いることが出来る。

・「非貨幣性項目の額に重要性がない」場合には、全ての貸借対照表項目を決算時レートで換算することができる。

・在外支店の換算は、①貸借対照表(BS)→②損益計算書(PL)の順で行い、BSの当期純利益をPLへ転記する

・当期純利益の円貨額と収益費用の換算額の差額が為替差損益となる

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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