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【わかりやすく】社会保険料・労働保険料の会計処理について解説

会計

みなさん、こんにちは。今回は社会保険料・労働保険料の会計処理がテーマです。どの会社でも必ず支払われている社会保険料・労働保険料ですが、会社と従業員とそれぞれで負担していたり、給料から天引きされたりと意外とややこしい仕組みとなっています。

社会保険料・労働保険料の全体像を把握できるようにわかりやすく解説していきますので、ぜひチェックしてみて下さい。

前回の記事では法人税申告書の別表5の1に関する解説を行なっています。

興味のある方はこちらもどうぞ。

そもそも社会保険・労働保険とは

まずは社会保険と労働保険とはどんな保険のことかを整理しましょう。

一口に社会保険と言っても様々な保険の種類があり、労働保険も広い意味では社会保険の中に含まれます。

■社会保険
医療保険、年金保険、介護保険の3つを狭義の社会保険といいます。
広義の意味での社会保険には後述の労働保険も含まれます。
■労働保険
雇用保険、労災保険の2つを労働保険といいます。

社会保険の中に労働保険が含まれて使われる場合もありますので、混同しないように注意しましょう。

社会保険の種類と保険の内容

続いて、社会保険の内容について具体的に解説します。

(狭義の)社会保険とは、医療保険、年金保険、介護保険の3つの保険のことを言います。

医療保険(健康保険)

【内容】:医療保険とは、医療機関を受診する際の医療費の一部を国や地方自治体が負担してくれる制度のことをいい、一般の会社員が加入するのは「健康保険」となります。

【負担割合】:会社と従業員とで50%ずつを負担する労使折半となります。

年金保険

【内容】:年金保険とは、原則65歳から年金形式で資金を受け取れる制度のことをいい、一般の会社員であれば国民年金保険と厚生年金保険の2つに加入することとなります。

【負担割合】:国民年金は全額従業員の自己負担、厚生年金は会社と従業員とで50%ずつを負担する労使折半となります。

介護保険

【内容】:介護保険とは、要介護認定を受けた場合に介護サービス費用の一部が保障され、自己負担額が原則1割となる制度のことをいいます。(従業員が40歳以上65歳未満の場合に徴収されます)

【負担割合】:会社と従業員とで50%ずつを負担する労使折半となります。

労働保険の種類と保険の内容

次に労働保険である雇用保険と労災保険の内容について確認していきましょう。

雇用保険

【内容】:雇用保険とは、労働者が失業した場合に、失業手当等の給付を受けることが出来る保険のことをいいます。雇用保険に加入することで、以下の給付を受けることが可能となります。

失業給付金、教育訓練給付金、育児休業給付金、介護休業給付金等

【負担割合】:負担割合は業種により異なっており、労働者負担・事業主負担の保険料率は下表のとおりです。

(出典:厚生労働省ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

労災保険

【内容】:労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度のことをいいます。

【負担割合】:負担割合は全額会社負担となり、会社100%の負担となります。

労働保険に関する届出・納付方法

労働保険の適用事業となった場合、まずは労働保険の「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出する必要があります。

その他、「雇用保険適用事業所設置届」及び「雇用保険被保険者資格取得届」を公共職業安定所へ提出しなければいけません。

また、労働保険は保険関係の成立時もしくは年度当初に概算で申告を行い、翌年度の当初に確定申告・精算する流れとなります。

社会保険の会計処理について

続いて、社会保険の会計処理を解説していきます。

社会保険料の支払いは、当月分を翌月末まで年金事務所に支払うこととなっており、当月分の給料で前月分の社会保険料の従業員等負担分を預かるのが一般的とされています。

社会保険料は、会社と従業員とで50%ずつを負担する労使折半となっていますが、会計処理の方法としては(1)従業員負担分を法定福利費のマイナスとして処理する方法、(2)従業員負担分を預かり金として処理する方法の2種類があります。

(1)従業員負担分を法定福利費のマイナスとして処理する方法

従業員等負担分は法定福利費のマイナスとし、年金事務所への保険料の支払いも全額法定福利費とする処理です。法定福利費のみしか使用しませんので、非常に簡便的な方法です。

仕訳のイメージは下記となります。

(給与・賞与発生時)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
給与・賞与×××現預金×××
法定福利費×
 

(社会保険料納付時)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法定福利費×××現預金×××
 

(2)従業員負担分を預り金として処理する方法

従業員等負担分を預り金勘定で負債計上しておき、社会保険料の支払い時に当該預り金を取り崩し、会社負担分は法定福利費として計上する方法です。この方法を用いて記帳を行うケースがよくみられます。

仕訳のイメージは下記となります。

(給与・賞与発生時)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
給与・賞与×××現預金×××
預り金×××
 

(社会保険料金額通達時)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法定福利費×××未払金×××
預り金×××
 

概算労働保険料は法人税申告時に調整が必要

前述の通り、労働保険料は年度当初に概算申告を行い、翌年度の当初に確定申告・精算を行います。

労働保険料の申告及び納付時期は毎年6月1日から7月10日となっているため、決算日時点では労働保険料が確定せず、概算金額で計上されているケースが多くみられます。

法人税法は債務確定主義に基づくため、概算で計上された費用は損金算入が認められず、別表調整が必要となります。

労働保険料について、期末時点で概算計上が行われている場合には損金不算入の調整が必要である点に留意しましょう。

まとめ

如何でしたでしょうか。

社会保険料と一口に言っても様々な種類の保険から構成されていますので、しっかりと内容を把握しておくことが重要です。

また、各保険に応じて会社負担となるのか、従業員負担となるのかも異なりますので、この点もしっかりと把握しておきましょう。

個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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