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【わかりやすい】連結会計について解説②〜連結財務諸表作成の手順と資本連結手続について

M&A

今回も連結会計について解説をしていきたいと思います。

前回の記事をまだチェックしていない方はこちらの記事も是非チェックしてみてください。

前回は、連結会計の概要について解説しました。
今回は具体的な会計処理となる親会社が子会社を取得した場合における会計処理、資本連結手続について解説をしてきたいと思います。

資本連結手続とは?

資本連結手続とは、子会社の財務諸表を親会社の財務諸表に連結するに当たり、親会社の投資と子会社の資本とを相殺消去するための手続きのことです。

これだけではなかなか理解できませんよね・・・

資本連結手続の具体的な会計処理を解説する前に連結財務諸表作成の流れについて解説していきます。

連結財務諸表作成の手順

どのような流れで連結財務諸表を作成していくか、手順について解説していきます。

前回の記事で、連結財務諸表とは親子関係にある会社を一つのグループとみなして、グループ全体の財務諸表として作成するものと解説しました。

連結財務諸表の作成手順は以下の流れで作成されます。

1. 各社の個別財務諸表の作成

2. 各社の個別財務諸表の合算

3. 連結仕訳

1. 各社の個別財務諸表の作成
連結財務諸表作成の前に連結を行う会社(親会社、子会社)の個別財務諸表が完成していなければ連結財務諸表を作成することはできません。まずは、個別の財務諸表を完成させます。
連結財務諸表に取り込む個別財務諸表について以下の点に留意する必要があります。

・決算日について
親会社と子会社の決算日が異なる場合があります。この場合、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行います。
しかし、子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができます。ただし、この場合には、子会社の決算日と連結決算日が異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について、必要な整理を行う必要があります。
・会計方針について
同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は、原則として統一しなければなりません。これは、連結財務諸表作成にあたり、親会社と子会社を経済的一体とみなして作成するため、親会社と子会社で異なる会計方針が採用されることは認められていないということです。
しかし、在外子会社の財務諸表が国際財務報告基準(IFRS)又は米国会計基準に準拠して作成されている場合、当面の間、これらを連結決算手続上利用することができるとされています。
この場合であってものれんの償却、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、研究開発費の支出時費用処理、投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整については日本基準への修正を行う必要があります。

2. 各社の個別財務諸表の合算
次に、作成した会社の個別財務諸表について合算を行います。
在外子会社については、現地の外貨から円貨への換算を行う必要があります。

■ 在外子会社の損益計算書の換算

損益計算書

費用
期中平均相場による円換算額
または
決算時の為替相場による円換算額

収益
期中平均相場による円換算額
または
決算時の為替相場による円換算額

当期純利益
期中平均相場による円換算額
または
決算時の為替相場による円換算額
親会社との取引
親会社が換算に用いる為替相場による円換算額
(発生した換算差額)
当該換算による生じた差額は、為替差損益として処理

■ 在外子会社の株主資本等変動計算書の換算

項目 主な例 換算方法
親会社による株式の取得時における資本に属する項目 株式取得時の
資本金
資本準備金
評価差額等
株式取得時の為替相場による円換算額
親会社による株式の取得後に生じた資本に属する項目 利益剰余金等 発生時の為替相場による円換算額
なお、当期純利益については損益計算書において計上された円換算額を計上する
親会社による株式の取得後に生じた在外子会社等の支払配当金 支配獲得後において実施された
支払配当金
配当決議日の為替相場による円換算
親会社による株式の取得後に生じた評価・換算差額等 支配獲得後において購入した
有価証券等の評価差額金等
決算時の為替相場による円換算

■ 在外子会社の貸借対照表の換算

貸借対照表
資産 負債
資産項目
時価評価等によって生じた簿価修正額
簿価修正額に対応して計上した繰延税金資産
→決算時の為替相場による円換算額
負債項目
時価評価等によって生じた簿価修正額
簿価修正額に対応して計上した繰延税金負債
→決算時の為替相場による円換算額
純資産
株主資本等変動計算書における期末残高
為替換算調整勘定
貸借差額

3. 連結仕訳
各社の個別財務諸表を合算した後、連結仕訳を行う必要があります。
連結仕訳には、いくつか種類があり、代表的なものとして以下が挙げられます。

・投資と資本の相殺消去
・債権債務の相殺消去
・未実現損益の消去
・連結会社間の取引高の相殺消去
・当期純損益の按分
・のれんの償却 など

前回の記事についてそれぞれの概要について解説しましたので、それぞれの内容についてはそちらをご確認ください。

以上の手順によって連結財務諸表を作成します。
主に作成する連結財務諸表は以下の通りです。

・連結貸借対照表
・連結損益計算書
・連結包括利益計算書
・連結株主資本等変動計算書
・連結キャッシュ・フロー計算書

資本連結手続とは(再)

連結財務諸表の作成手順について解説しましたので、資本連結手続について戻ります。

資本連結手続とは、子会社の財務諸表を親会社の財務諸表に連結するに当たり、親会社の投資と子会社の資本とを相殺消去するための手続きのことです。

資本連結手続とは、連結仕訳のうち、親会社の投資と子会社の資本の相殺消去を行う仕訳のことをいいます。

この仕訳は、連結仕訳として必ず行われる仕訳であり、基本となる仕訳です。

資本連結手続 設例

資本連結手続について設例で解説を行なってきます。

設例 株式の一括取得により持分比率が0%から60%(連結)になった場合

<前提条件>
ア.P社はS社株式60%をX1 年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1 年3月31日1,000である。

(X1 年3月31日 個別貸借対照表)

P社貸借対照表
資産 4,800 /
負債 3,000
資本金 1,500
繰越利益剰余金 300
S社貸借対照表
資産 1,200 /
負債 500
資本金 500
繰越利益剰余金 200

■ S社個別財務諸表 修正仕訳

(借方)(貸方)
土地  200評価差額  200

取得されるS社の資産、負債について支配獲得日における時価により評価替えを行います。

■ 連結仕訳

・P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上

(借方)(貸方)
資本金  500S社株式  900
繰越利益剰余金200非支配株主持分360
評価差額200
のれん360

連結仕訳については以下の取引に分解できます。

(1)P社の投資(子会社株式)の消去 S社株式900
(2)S社の資本(株主資本+評価差額)の消去 資本金500、繰越利益剰余金200、評価差額200
(3)非支配株主持分の計上 非支配株主持分360(S社(株主資本+評価差額)×40%)
(4)のれんの計上(S社に対するP社持分とP社投資額の差額)(投資額900-S社のP社持分540)

のれんについては、基本的には、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却を行う必要があります(重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができます)。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、連結会計の資本連結手続について解説しました。

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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