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【わかりやすい】税効果会計について解説① なぜ行う?一時差異とは…?

会計

今回は、税効果会計について、わかりやすく解説をしていきたいと思います。
税効果会計は、財務会計と税務会計にズレが発生している会社で必要となる会計処理です。
財務会計と税務会計にズレが発生していない非上場の中小企業などは必要のない会計処理となります。

前回の記事はこちら

財務会計と税務会計の違い

税効果会計についての解説を行う前に、「財務会計」と「税務会計」の違いについて理解する必要があります。
財務会計と税務会計は似ているようで、目的が異なります。そのため従う基準も異なっており、利益(所得)にズレが生じます。

「財務会計」と「税務会計」の違い

「財務会計」」は、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を用いて外部の利害関係者に財政状態(B /S)、経営成績(P /L)などを報告するための企業会計となります。「財務会計」で算出する収益と費用の差額は「当期純利益」となります。

「税務会計」とは、企業の課税されるべき「所得額」を算出するための会計となります。法人税法などの規定に従って行われる会計で、国および地方自治体が課税する税金を計算するために行われる会計です。

財務会計は、企業の外部利害関係のために企業の経済的実態を表すことを目的に「当期純利益」を計算する一方で、税務会計は企業の税金計算のために「所得」を計算するために行われます。

財務会計と税務会計は目的が異なることから、従う基準も下記の通り異なります。

・財務会計・・・会計基準(企業会計原則、実務基準、財務諸表規則、会社法計算規則など)
・税務会計・・・法人税法や所得税法などの法律

さらに、「財務会計」における「収益」、「費用」に対する名称も税務会計では、「益金」、「損金」と呼びます。

財務会計と税務会計のズレを認識するところから税効果会計についての処理が始まります。

税効果会計とは

税効果会計の必要性
では、なぜ「財務会計」と「税務会計」で基準、利益(税務の場合は所得)が異なるからといって、なぜ税効果会計が必要となるのでしょうか。設例と図で見てみましょう!

【設例】
取得価額1,000の固定資産について財務会計上、耐用年数2年としたものの、税務会計上の法定耐用年数は5年とした場合、財務会計上の減価償却費は500(=1,000/2年)となるが、税務会計上は200(=1,000/5年)となる。この差300が「財務会計」と「税務会計」のズレとなる。
「財務会計」と「税務会計」のズレ:減価償却費(超過額)300
・・・財務会計では当期の費用として認められるものの、税務会計では当期の損金として認められず、税務会計上、加算調整を行う。

税効果会計を適用しなかった場合、税引前利益200に対して税金費用が150となっており、税金負担率は75%となっています。一方で、税効果会計を適用した場合、税引前利益200に対して税金費用が60(法人税等150ー法人税等調整額90)となっており、税金負担率は30%と税計算における税率と整合しています。

つまり、税効果会計は、「財務会計」と『税務会計』のズレを調整し、税金費用を適切に期間配分する手続きを行うために必要な処理なのです。

一時差異と永久差異について

次に一時差異と永久差異について解説していきます。

先程のセクションでは、税効果会計は、「財務会計」と『税務会計』のズレを調整する処理と説明しました。この「財務会計」と『税務会計』のズレは、「一時差異」と「永久差異」に分類できます。

一時差異は、将来解消される差異のことで、永久差異は、永久に解消されない差異となります。交際費や寄付金などの損金算入限度超過額が永久差異に該当します(税務上も永久に加算調整されるもの)。

先程の設例の減価償却超過額は一時差異となります。
減価償却超過額は、財務会計上の耐用年数と税務上の耐用年数が異なったことによるもので税務上の耐用年数5年経過時には、この差異は解消されることとなるためです。

財務会計と税務会計のズレについて、図で表すと、以下のようになります。
「一時差異」はさらに「将来減算一時差異」と「将来加算一時差異」に分類できます。

「将来減算一時差異」は、当該一時差異が解消するときに税務申告上その期の課税所得を減額させる効果を持つ差異
「将来加算一時差異」は、当該一時差異が解消するときに税務申告上その期の課税所得を増額させる効果を持つ差異

将来減算一時差異は、解消される期の課税所得を減額させる効果を持つ差異のため、「繰延税金資産」として計上されます。

将来の課税所得を減額させる ≒ 税金の前払いを行っている=資産

将来加算一時差異は、解消される期の課税所得を増額させる効果を持つ差異のため、「繰延税金負債」として計上されます。

将来の課税所得を増額させる ≒ 税金の未払いとなっている=負債

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は税効果会計の概要について解説しました。
今回の内容をまとめると以下の通りです。

・財務会計と税務会計は、その目的が異なることから利益(所得)にズレが生じる!

・そのズレを解消し、税金費用を適切に期間配分する手続きを行うために税効果会計は行われる

・一時差異は、将来解消される差異のことで、永久差異は、永久に解消されない差異のこと

・「将来減算一時差異」は、将来、課税所得を減額させる効果を持つ差異のため「繰延税金資産」として計上される

・「将来加算一時差異」は、将来、課税所得を増額させる効果を持つ差異のため「繰延税金負債」として計上される

税効果会計は奥が深く今回説明しきれなかった論点もあります。次回以降の記事でアップしていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。

ご質問は、コメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)で受け付けていますのでよろしくお願いします!

ではでは!

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