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【わかりやすい】新収益認識基準のポイントを解説①〜基準の全体像〜

会計

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する新収益認識基準についてのポイントをわかりやすく解説してきます!シリーズにして分けて解説していくので他の記事についてもチェックしてみて下さい!

解説する基準

今回解説する基準は、以下の通りです。以下の2つの基準を総称して、「新収益認識(会計)基準」と呼んでいます。
会計基準では難しい言葉で説明されている箇所も、この記事では、なるべく簡単な言葉に置き換えて解説を行なっていきます。

・収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)
・収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)

基準の全体像

そもそも「新収益認識基準」ってどういう基準なの? 基本原則として基準には以下のように記載されています。

基本原則:約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。(基準16項)

・・・なかなか難しい日本語となっています。簡単な言葉で言い換えてみましょう!

用語の解説

「財又はサービス」・・・会社が販売している製品、商品やサービスのこと

「権利を得ると見込む対価の額」・・・売上に対する対価(売掛金や現預金)のこと

簡単な言葉で言い換えるとつまり・・・商品、製品、サービスを渡すことで得られる現金や売掛金の額でもって売上(=収益)を認識することが原則となっています。

新収益認識基準は難しい用語を使っているだけで、特に難しく考える必要はありません。

この新収益認識基準は、売上がいくらなのか(=収益認識)について定めている基準となります。
またこの基準は次の「5ステップ」で収益を認識していく基準となっています。

STEP1 契約の識別
STEP2 履行義務の識別
STEP3 取引価格の算定
STEP4 履行義務に取引価格を配分
STEP5 履行義務充足により収益を認識

この5ステップについて簡単に説明すると、(STEP1)まず初めに、顧客と収益について取り決めしている契約を識別します。(STEP2)次に、その契約で顧客に対して何を提供する約束をしたのか(=履行義務)を識別し、(STEP3)その契約についての全体価格を算定します。(STEP4)そして、全体価格を顧客との約束事(=履行義務)に配分します。(STEP5)最後にその顧客との約束が果たされた時点(履行義務が充足した時点)で収益を認識させます。
という以上5つのステップとなっているのです。

この5つのステップが収益認識基準の特徴であり、基準が難しくなっている要因でもあります。
図にして解説してみましょう!

前提条件
・当期首に、A社はB社(顧客)と、標準的な商品Xの販売と2年間の保守サービスを提供する1つの契約を締結した。
・A社は、当期首に商品XをB社に引き渡し、当期首から翌期末まで保守サービスを行う。
・契約書に記載された対価の額は12,000千円である。

図で表すと少しスッキリするのではないでしょうか。
どんな取引でも基本はこの流れ(図)に沿って収益を認識していくため、迷ったら今どのステップで迷っているのかを一度立ち止まって、全体像を思い返して見ましょう。

売上はいくらで計上?

会計をあまり知らない方だと売上がいくらなのか会計基準でわざわざ定める必要があるのか?と思う方もいらっしゃると思います。そんな方のためにここから簡単な例をもって解説してきます。

(例)
1個20円のリンゴを100円で売った場合の売上はいくらになると思いますか?

売上100円以外になるケースなんてあるの?と思われる方も多いと思いますが、実は売上100円以外になる場合もあるんです!

本人取引のケース
皆さんのイメージしているような商店街にある、一般的な八百屋がリンゴを自分で仕入れ、そのまま販売した場合、売上は100円となります。(売上100円 売上原価20円 = 売上総利益80円)

しかし!売上が100円以外になるケースもあります。

それが次から説明する「代理人」と判断されるケースです。

代理人取引のケース
先ほどの八百屋で販売しているリンゴが、実は、八百屋で仕入れを行なっているものではなく、隣のフルーツ屋が仕入れを行なっているものであり、八百屋としては販売するスペースだけを貸している場合であればどうでしょうか。
この場合、価格の決定権もフルーツ屋が有しており、リンゴが仮に売れなくても仕入代、廃棄代などフルーツ屋が負担するようなケースです。

八百屋が単なるフルーツ屋の代理人と判断される場合には八百屋における売上は100円となりません。

もちろん販売するスペースを貸しているだけでもお客さんへは100円で売っているのになぜ会計の世界では売上100円とならないのでしょうか。

八百屋における売上は、50円となるのです!
売値の100円からフルーツ屋からの仕入れ値(ここでは50円としましょう)を引いた金額の50円が八百屋での売上となるのです。計算式としては以下のイメージです。お客さんへの売値と売上は違うという点がポイントです。
(売値(≠売上)100円−フルーツ屋へ支払う金額50円 = 売上50円

代理人取引について、基準では以下のように記載されています。

収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)

40.顧客への財又はサービスの提供に他の当事者が関与している場合において、顧客との約束が当該財又はサービスを当該他の当事者によって提供されるように企業が手配する履行義務であると判断され、企業が代理人に該当するときには、他の当事者により提供されるように手配することと交換に企業が権利を得ると見込む報酬又は手数料の金額(あるいは他の当事者が提供する財又はサービスと交換に受け取る額から当該他の当事者に支払う額を控除した純額)を収益として認識する

代理人取引の場合、八百屋はスペースを貸しているのみで、「リンゴを販売する」という商売のリスクは負っていないですよね。

そのため売上(=収益)の金額も総額の100円ではなく、純額の50円とするように基準上決められているのです。

状況や場合によって売上(=収益)の金額やタイミング(=いつ)が異なるため、基準によって売上(=収益)をいくらにするのか、いつ計上するのかについて定められているのです。

取引においてどこにリスクがあり、だれがリスクを負っているのか考えると理解が深まります。

まとめ

いかがだったでしょうか。基準の概要について理解が少しでも深まりましたでしょうか。今回の内容をまとめると以下の通りです。

・新収益認識基準は、売上をいくらにするのか、いつ計上するのかについて定めた基準

・5つのステップに従って収益を認識していく

・「本人」か「代理人」かの取引により、売上の計上金額が「総額」なのか「純額」なのか変わってくる

新収益認識基準は、もともと国際的なルールであるIFRS(国際財務報告基準)を元に日本へ導入されたものとなっています。元々英語のものを日本語にしている部分もあるため、日本語としても難解なものとなっており、理解するのはなかなか一苦労ですよね。

次の回でも新収益認識基準の詳細について解説しようと思いますので是非チェックしてみてください!
ご質問については、コメント欄や質問箱まで(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)お願いします!

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ではでは!

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