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【わかりやすい】新収益認識基準のポイントを解説②〜売上はいつ計上する?〜

会計

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する新収益認識基準についてのポイントをわかりやすく解説してきます。

前回の記事についても是非チェックしてみてください。

解説する基準

今回解説する基準は、以下の通りです。以下の2つの基準を総称して、「新収益認識(会計)基準」と呼んでいます。
会計基準では難しい言葉で説明されている箇所も、この記事では、なるべく簡単な言葉に置き換えて解説を行なっていきます。

・収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)
・収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)

履行義務の充足による収益の認識(STEP5)

収益認識に関する会計基準では、以下の5つのステップで収益認識の会計処理を行なっていきます。

STEP1 顧客との契約を識別する
STEP2 契約における履行義務を識別する
STEP3 取引価格を算定する
STEP4 取引価格を履行義務に配分する
STEP5 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する

今回は上記のステップのうちSTEP5の収益の認識タイミング(いつ売上、収益を計上するのか)について解説していきます。

STEP5 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する

用語の解説

・「履行義務」・・・自社の商品、サービスを提供すること

基準には以下のように記載されています。

収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)
7.「履行義務」とは、顧客との契約において、次の⑴又は⑵のいずれかを顧客に移転する約束をいう。
⑴ 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)
⑵ 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパターンが同じである複数の財又はサービス)

・「充足」・・・契約などの約束や義務を果たすこと

STEP5を簡単に言い換えると、自社の商品、サービスを提供する約束、義務を果たした時点で収益を認識することとなります。
新収益認識基準は難しい用語を使っているだけで、特に難しく考える必要はありません。
5つのステップのうち、売上をいつ計上するのか(計上時点)について決めているのがSTEP5となっています。

売上の計上時点

次に売上の計上時点について、次の2つのパターンに分かれます。

・一定の期間
・一時点

一定の期間とは、例えば、長い期間にわたって行われる家やビルの建設工事契約などがこれに該当します。
一時点は、商品やサービスを提供した時点のことを指します(例えばリンゴをお客さんに売った時点など)。

一時点の方は理解しやすいと思いますが、一定の期間で売上を計上する方法はなんで必要なの?と思いますよね。

例えば、建設期間が2年となるような工事契約について、家やビルが完成した時点に売上を計上することとなると、家やビルが建つまでの2年間、売上が全く計上されなくなります。

どんなに大規模な工事で、完成間近であっても完成するまでは売上がゼロであることが本当に実態に即しているのか?といった違和感が生じます。そのため履行義務の充足に合わせ(自社の商品、サービスを提供する約束、義務を果たした時点に合わせ)、進捗に応じて収益を計上することができるのです。

この一定期間にわたり収益の認識を行う場合には基準の要件を満たす必要があるため注意してください(収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)38項)。

では基準の要件に満たし、進捗に応じて収益認識を計上することができる場合に問題となるのが、「進捗に応じ」という点です。
進捗を図る方法として、基準には以下の2つの方法が定められており、財又はサービスの性質によって選択されます。

・アウトプット法
・インプット法

収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)
15.完全な履行義務の充足に向けて財又はサービスに対する支配を顧客に移転する際の企業の履行を描写する進捗度(以下「履行義務の充足に係る進捗度」という。)の適切な見積り(会計基準第41項)の方法には、アウトプット法(第17項から第19項参照)とインプット法(第20項から第22項参照)があり、その方法を決定するにあたっては、財又はサービスの性質を考慮する。

このアウトプット法、インプット法によって履行義務の進捗を図り、その進捗に応じ収益を計上して行くことになります。

例えば工事期間が2020年1月〜2021年12月の2年間の工事契約(ビルの建設)において、1年後(2020年12月末)にビルの60%まで完成したとしましょう。(工事契約総額:1億円)

この場合、2020年12月末における1年間の売上(2020年1月〜12月の1年間の売上)は、6,000万円となります。

工事契約総額1億円×進捗度60%=6,000万円

また翌年1年間で完成した場合には、2021年12月末における1年間の売上(2021年1月〜12月の1年間の売上)は、4,000万円となります。工事契約総額1億円− 6,000万円=4,000万円

(進捗度について、「完成度」ではなく「期間」で決定するような場合は50%(1年間/2年間)となります。)

取引の実態を考え、どこまで収益を計上すべきかを考えると理解が深まります。

アウトプット法、インプット法の詳細などのご質問はコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までご連絡いただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!ではでは!

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