G-X0MQHQND78

【わかりやすく】キャッシュ・フロー計算書について解説①〜キャッシュ・フロー計算書の概要

会計

今回はキャッシュ・フロー計算書の解説を行なっていきます。

キャッシュ・フロー計算書は、財務諸表を構成する決算書の一つですが、貸借対照表や損益計算書と異なり、キャッシュ・フロー計算書を作成していない会社もたくさんあります。

そんなキャッシュ・フロー計算書ですが、その名の通り、現預金(≒キャッシュ)の入りと出(=フロー)がわかる決算書となるため会社の経営、財務諸表利用者にとっては非常に重要な決算書となりますので、キャッシュ・フロー計算書の概要と読み方について解説していきます。

前回の記事についても、是非チェックしてみてください。

キャッシュ・フロー計算書とは

キャッシュ・フロー計算書は、その名の通り、現預金(≒キャッシュ)の入りと出(=フロー)を表した決算書のことです。

ある一定期間(通常は1年間)に、現預金がどれだけ入ってきて、どれだけ出て行ったか、その結果、手元にある現預金はいくらなのかを表した決算書のことです。

貸借対照表は、会社の資産や負債を表す(財政状態を表す)決算書のことで、損益決算書は、会社の売上や利益を表す(経営成績を表す)決算書のことについて以前の記事で解説しました(こちらをご参照ください)。

キャッシュ・フロー計算書は、現預金にフォーカスして、現預金の入り(キャッシュイン)、出(キャッシュアウト)を表した決算書なのです。

損益計算書との違い

損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の違いについて解説します。

どちらも会社の1年間の入りと出(フロー)を表した決算書ですが、損益計算書は利益(収入と費用のフロー)、キャッシュ・フロー計算書は現預金のフローについて表しています。

■ 利益とキャッシュの違い

利益とキャッシュは似ているようで異なります。
なぜなら「収益」、「費用」の計上タイミングと現預金の計上タイミングは、必ずしも一致しないためです。

みなさんは、黒字倒産と言う言葉を聞いたことあるでしょうか。
黒字倒産とは、利益は出ているのに会社が倒産してしまうようなケースのことをいい、実務でも実際に黒字倒産をしてしまうケースがあります。

黒字倒産と利益とキャッシュは違うものということについて設例で解説します。

例えば、自動車を製造して販売しているA会社がありました。
A会社では、自動車を製造するために工場にて材料や人、機械を稼働させて製造しています。

その自動車の販売にかかる回収については、分割により回収(ローン返済)していきます。

1台100万円の自動車を販売するのに50万円のコストがかかるとしましょう。
1年間で100台売れた場合の利益は500万円となります。

売上 1,000 万円 (100万円×100台)
費用   500 万円 ( 50万円×100台)
利益   500 万円

売上の回収方法について、10年ローンで回収していく契約であったとしましょう。
この場合にキャッシュ・フローはどのようになるかみてみましょう。

1年間に100台販売できて、売上は1,000万円の場合でも回収が10年ローンの場合、1年で入ってくる現預金は1/10になってしまうため、キャッシュインは、100万円となります。

一方で、製造するためのコストの支払いについて、材料の支払いや人件費の支払いについては10年ローンでの支払いは通常許されないため、すぐに支払わなければならず、この場合キャッシュアウトは500万円となり、現預金はマイナス400万円となってしまいます。

キャッシュイン 100万円 (売上1,000万円/10年)
キャッシュアウト 500万円 (費用500万円)
手許現預金 △400

これが、利益とキャッシュの違いになります。

利益が出ている場合でもキャッシュがマイナスとなっている場合もあり、運転資金が不足してしまうような場合には、黒字倒産が生じてしまうのです。

そのため、貸借対照表、損益計算書だけでは、会社の安全性(現預金をどれだけ持っているのか、現預金のフローはどうなっているのか)がわからないためキャッシュ・フロー計算書を作成する必要があるのです。

キャッシュ・フロー計算書の構造

実際にキャッシュ・フロー計算書がどういったものかみていきましょう。
上場会社の「HUB」のキャッシュ・フロー計算書です。「HUB」は英国風のパブで、サッカー観戦などのスポーツ観戦をしながらお酒が飲めるお店で有名ですよね。

一番下の行である「現金及び現金同等物の期末残高」が期末時点における手許の現金預金を表しています。

さらに、キャッシュ・フロー計算書は、大きく分けて3つの区分に分けることができます。

営業活動によるキャッシュ・フロー本業の営業活動によるキャッシュイン、キャッシュアウトを表している
投資活動によるキャッシュ・フロー固定資産の購入や売却、株式の売買など本業以外の投資活動に関するキャッシュフローを表している
財務活動によるキャッシュ・フロー借入金の返済の状況や配当金の支払いなど本業以外の財務活動に関するキャッシュフローを表している

1年間の現預金の増減がいくらなのかに加えてどんな活動からキャッシュイン、キャッシュアウトが生じているのかがわかるようになっています。本業で稼げているのか、本業以外の活動で稼げているのかは会社の実態を把握する上で重要なポイントとなります。

「HUB」のキャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナス18億円、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス1億2千万円、財務活動によるキャッシュ・フローがプラス18億円となっています。

やはり、新型コロナの影響でお店の営業が通常通り行えていないことが大きな要因で営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっています。
一方で、銀行からの追加で借入を行なっており、財務活動で営業活動のマイナス分のキャッシュを賄っています。

結果として、前期末とほぼ同額程度のキャッシュが手許に残っています。
まだまだ資金繰りに問題はなさそうです。

「HUB」のキャッシュ・フロー計算書をみてわかる通り、キャッシュ・フロー計算書を作成することによって銀行からいくら借りればよいのかも把握できます。

営業活動(本業)による資金繰りがどの程度悪くなったかを把握し、どの程度銀行から借入を行えばある程度(少なくとも1年間程度)の操業が行えるかを把握することができるのもキャッシュ・フロー計算書を作成するメリットと言えるでしょう。

キャッシュ・フロー計算書を作成しなければならない会社

冒頭でも記載した通り、キャッシュ・フロー計算書を作成していない(又は開示していない)会社も多いです。これはキャッシュ・フロー計算書の作成、開示が求められている会社が一部の会社に限られているためです。

上場会社などの有価証券報告書提出会社はキャッシュ・フロー計算書を作成し、開示することが求められています。具体的には、以下の通りです。
(連結財務諸表を作成している会社は、連結キャッシュ・フロー計算書の作成が求められており、その場合には単体のキャッシュ・フロー計算書の作成は省略できます。)

・金融商品取引所に上場されている有価証券(特定上場有価証券を除く。)

・店頭登録されている有価証券の発行者

・募集または売り出しにあたり有価証券届出書または発行登録追補書類を提出した有価証券の発行者

・所有者数が1,000人以上の株券(株券を受託有価証券とする有価証券信託受益証券および、株券にかかる権利を表示している預託証券を含む)または、優先出資証券(ただし、資本金5億円未満の会社を除く)、及び所有者数が500人以上のみなし有価証券(ただし、総出資金額が1億円未満のものを除く)の発行者

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はキャッシュ・フロー計算書の概要及び構造について解説しました。

次回は、キャッシュ・フロー計算書における活動区分ごとの構造、読み方について解説していきます。

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

コメント

タイトルとURLをコピーしました