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【わかりやすい】連結会計について解説④〜持分法の会計処理について

M&A

今回は、連結会計における持分法について解説を行なっていきます。

連結会計は聞いたことあるけれど、持分法については聞いたことないという方も多いと思います。
実際に、前回の記事で解説した連結会社間の連結仕訳については簿記2級の範囲内となっていますが、持分法については簿記1級の範囲となっています。

少し聞き慣れない論点かもしれませんが、意外と身近な論点である持分法について解説を行なっていきます。

前回の記事についても是非チェックしてください!

持分法とは?

連結財務諸表を作成する基準(連結の範囲)は、子会社を有しているかどうかです。
一方で、非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として持分法を適用します。

■ 子会社 → 連結
■ 非連結子会社、関連会社 → 持分法

持分法とは

投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法

これだけ聞いてもよくわかりませんね・・・

子会社に対しては、連結グループとして親会社も子会社も一体とみなして連結財務諸表を作成します。
しかし、持分法の場合は、非投資会社(関連会社等)に対する持分のみを連結財務諸表に取り込むのみで、非投資会社(関連会社等)を合わせた財務諸表の作成は行いません。

連結は、連結会社の財務諸表を勘定科目ごとに合算することによって企業集団の財務諸表を作成するので、完全連結といわれます。

これに対して、持分法による処理は、被投資会社の資本及び損益に対する投資会社の持分相当額を、原則として、貸借対照表上は投資有価証券の修正、損益計算書上は「持分法による投資損益」によって連結財務諸表に反映することから、一行連結といわれます。

連結と持分法による処理との間には、連結財務諸表における連結対象科目が全科目か一科目かという違いはありますが、その親会社株主に帰属する当期純利益及び純資産に与える影響は、後述する全面時価評価法、部分時価評価法に間する点を除き、同一となります。

■ 資産負債の評価方法(全面時価評価法と部分時価評価法)

持分法適用関連会社については、資産負債の評価方法に連結の処理と明確な違いがあります。

連結子会社の場合、子会社に対する支配率が80%であっても子会社の資本の80%分のみを連結財務諸表に取り込むのではなく、子会社の資本の全部を連結財務諸表に取り込みます。

これを全面時価評価法といいます。

全面時価評価法
支配獲得日において、子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法

一方で、持分法適用関連会社については、部分時価評価法により連結財務諸表に取り込みます。

部分時価評価法
時価により評価する資産及び負債の範囲について、投資会社の持分に相当する部分に限定する方法

なお、非連結子会社の場合には全面時価評価法により持分法を適用します(ややこしいので注意して下さい)。部分時価評価法の具体的な処理については、後ほど解説します。

・連結子会社、非連結子会社 → 全面時価評価法
・関連会社 → 部分時価評価法

関連会社とは?

非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として持分法を適用します。
ただし、持分法の適用により、連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法の適用会社としないことができます。

非連結子会社は、子会社のうち、支配が一時的、利害関係社の判断を著しく誤らせる恐れがある、重要性が乏しいなどの理由により連結の範囲に含めていない会社のことです。

では、次に関連会社とはどのような会社のことをいうのでしょうか・・・

関連会社とは、
企業(当該企業が子会社を有する場合には、当該子会社を含む。)が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の企業をいう。

「重要な影響を与えることができる場合」とは次の場合をいいます。

(1) 子会社以外の他の企業(更生会社、破産会社その他これらに準ずる企業であって、かつ、当該企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる企業を除く。下記⑵及び⑶においても同じ。)の議決権の100分の20以上を自己の計算において所有している場合

(2) 子会社以外の他の企業の議決権の100分の15以上、100分の20未満を自己の計算において所有している場合であって、かつ、次のいずれかの要件に該当する場合

① 役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の企業の代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること

② 子会社以外の他の企業に対して重要な融資(債務の保証及び担保の提供を含む。)を行っていること

③ 子会社以外の他の企業に対して重要な技術を提供していること

④ 子会社以外の他の企業との間に重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引があること

⑤ その他子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること

(3) 自己の計算において所有している議決権(当該議決権を所有していない場合を含む。)と、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、子会社以外の他の企業の議決権の100分の20以上を占めているときであって、かつ、上記⑵の①から⑤までのいずれかの要件に該当する場合

こちらも子会社に該当する場合の「支配している」の説明と同じような記載となっています。

簡単に言い換えると、
基本的に関連会社とは議決権の20%超(50%以内)を持たれている会社のことと覚えておき、20%超を持っていない場合でも重要な役職、融資、技術、事業上の取引などの重要な関係がある場合や実質として議決権の20%を有しているような場合は、関連会社に該当すると覚えておくと良いでしょう。

このように、非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として持分法を適用することとなります。

持分法の会計処理

持分法の会計処理で覚えるべき会計処理は主に以下の4つです。

・持分法適用会社の資産及び負債の評価
・投資と資本の差額及びその償却
・持分法損益の計算
・未実現損益の消去

一つずつ解説をしていきます。

■ 持分法適用会社の資産及び負債の評価
持分法の適用日において、持分法適用会社の資産及び負債を時価により評価します。
なお持分法適用関連会社に対しては、部分時価評価法(投資会社の持分に相当する部分に限定する方法)により評価を行います。

持分法適用会社の資産及び負債の時価による評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額(以下「評価差額」という。)は、持分法適用会社の資本とします。

■ 投資と資本の差額及びその償却
投資会社の投資日における投資とこれに対応する被投資会社の資本との間に差額がある場合には、当該差額はのれん又は負ののれんとし、のれんは投資に含めて処理します。
のれんについては、投資会社に帰属する部分のみをのれんとし、これは連結における処理と同様(親会社の持分に相当する部分のみ識別)です。

のれんは、原則として、その計上後20年以内に、定額法その他合理的な方法により償却します。ただし、その金額に重要性が乏しい場合には、のれんが生じた期の損益として処理することができます。

■ 持分法損益の計算
投資会社は、投資の日(持分法適用日)以降における持分法適用会社の純利益又は純損失のうち投資会社の持分又は負担に見合う額を算定して、投資の額を増額又は減額し、当該増減額を「持分法による投資損益」として親会社株主に帰属する当期純利益の計算に含めます。

のれんの当期償却額及び減損処理額並びに負ののれんの処理額についても、持分法による投資損益に含めて表示します。また、評価差額に係る償却額又は実現額がある場合には、当該金額も持分法による投資損益に含めることとなります。

■ 未実現損益の消去
・ダウンストリームの場合
売手側である連結会社に生じた未実現損益の消去額は、売手側である連結会社の売上高等の損益項目と買手側である持分法適用会社に対する投資の額に加減します。
ただし、前者について利害関係者の判断を著しく誤らせない場合には、当該金額を「持分法による投資損益」に加減することができます。

・アップストリームの場合
売手側である持分法適用会社に生じた未実現損益の連結会社の持分相当額は、「持分法による投資損益」と買手側である連結会社の未実現損益が含まれている資産の額に加減します。
ただし、後者について利害関係者の判断を著しく誤らせない場合には、当該金額を持分法適用会社に対する投資の額に加減することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、持分法の会計処理について解説しました。

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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