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【わかりやすい】有価証券報告書の読み方について解説 ① 前半部分(前半の前半)について解説

会計

今回は有価証券報告書の読み方について解説していきたいと思います。

有価証券報告書は、上場会社が年に1回、会社の業績や従業員の情報などの幅広い情報を開示しているものとなります。そのため、有価証券報告書に記載されている内容を理解することができれば、その会社に対して深く知ることができるのです。

そんな有価証券報告書について、構成やどういった情報が記載されているか解説を行なっていきたいと思います。

前回の記事についても是非チェックしてみてください。

有価証券報告書を出さなければいけない会社

有価証券報告書は、全ての会社で出さなければいけないわけではありません。
有価証券報告書の提出義務がある会社は、金融商品取引法にて定められており、以下に該当する会社となります。

・金融商品取引所に上場されている有価証券(特定上場有価証券を除く。)

・店頭登録されている有価証券の発行者

・募集または売り出しにあたり有価証券届出書または発行登録追補書類を提出した有価証券の発行者

・所有者数が1,000人以上の株券(株券を受託有価証券とする有価証券信託受益証券および、株券にかかる権利を表示している預託証券を含む)または、優先出資証券(ただし、資本金5億円未満の会社を除く)、及び所有者数が500人以上のみなし有価証券(ただし、総出資金額が1億円未満のものを除く)の発行者

有価証券報告書の全体像

有価証券報告書の全体像は、大きく以下の通りとなっています。有価証券報告書は全体で100ページを超えることも普通となっており、膨大な量の情報が記載されています。

・企業の概況
会社の主要な経営指標の推移や会社の沿革、事業の内容、関係会社の状況、従業員の状況など会社情報のサマリーが記載されている箇所になります。

・事業の状況
経営方針や課題、事業を行う上でのリスク、当事業年度の財政状態、経営成績などの概況など会社が行なっている事業の状況について記載されている箇所となります。

・設備の状況
会社が行なっている設備投資の概要やこれから行う設備投資の計画について記載されている箇所となります。

・提出会社の状況
会社の発行済株式や資本金の推移、新株予約権の発行状況、大株主の状況、配当政策や会社のガバナンス体制(取締役会や監査役会体制)など会社の資本構成やガバナンス体制について記載されている箇所となります。

・経理の状況
会社の決算書である「財務諸表」について記載する箇所となります。貸借対照表や損益計算書などの本表、注記事項など会社の財政状態や経営成績、キャッシュ・フローの状況について詳細な数字にて記載している箇所となります。事業の状況に記載されている売上高やキャッシュフローの状況はあくまで概要であり、詳細な情報を得たい場合には経理の状況にある「財務諸表」で確認することとなります。

有価証券報告書の実例

ここから実際の有価証券報告書を例に読み方について解説していきます。
みなさん馴染みの深い「日本テレビ放送網(日テレ)」の持株会社(親会社)である「日本テレビホールディングス」の2021年3月期の有価証券報告書を基に解説していきます。
日テレ=「日本テレビホールディングス」ではないので注意してください。

まずは有価証券報告書の全体像となる「目次」です。

先ほどの「有価証券報告書の全体像」で記載した項目が記載されていますが、全体を大きく2種類に分けることができます。
前半部分は、経理の状況前に該当する「企業の概況」〜「提出会社の状況」と後半部分の「経理の状況」です。

会社の決算書と呼ばれる「財務諸表」が記載されているのは後半部分の「経理の状況」となっています。

前半部分の「企業の概況」〜「提出会社の状況」は会社の情報が記載されている部分となります。

有価証券報告書が大きく2つに分かれていることを知っているだけでも読みやすくなります。

【企業の概況】〜【事業の状況】

次に、有価証券報告書の前半部分(の前半)である【企業の概況】〜【事業の状況】の実例についてみていきましょう。

■ 【企業の概況】の実例
【企業の概況】は、会社の主要な経営指標の推移や会社の沿革、事業の内容、関係会社の状況、従業員の状況など会社情報のサマリーが記載されている箇所になります。

・「主要な経営指標の推移」

ここでは、連結グループと提出会社の主な業績の推移が記載されています。売上高や経常利益といった経営成績から自己資本比率や株価収益率といった経営指標、従業員数の推移まで記載されています。

(1)の連結と(2)提出会社の違いは、子会社も含めた日本テレビホールディングスの連結グループの数値を表しているのが(1)で、日本テレビホールディングス単体の数値を表しているのが(2)提出会社の数値となっています。

ここの比較によって連結グループ全体に対する単体の割合も見ることができます。日本テレビホールディングスはホールディングス化を行なっており、持株会社となっていますので、みなさんが馴染みの深い「日本テレビ」は「日本テレビ放送網」として日本テレビホールディングスの子会社となっています。そのため、日本テレビホールディングス単体よりも連結の売上が30倍近くとなっています。

・「沿革」

ここには、会社ができてから有価証券報告書提出までの会社の沿革が記載されています。
日本テレビホールディングスのホールディングス化(持株会社化)についても沿革に書いてありますね。

・「事業の内容」
ここでは、日本テレビホールディングスの事業の内容について記載されています。
一番大きな事業はやはり、「メディア・コンテンツ事業」となっています。グループ会社総数85社のうち、66社が「メディア・コンテンツ事業」に含まれるそうです。

・「関係会社の状況」

ここでは、日本テレビホールディングスの関係会社の状況について記載されています。日本テレビホールディングスは持株会社のため、みなさんご存知の「日本テレビ放送網(日テレ)」を筆頭にたくさんの子会社、関連会社があることがわかります。ジムのティップネスも日本テレビホールディングスの100%子会社ということは初めて知りました・・・。

・「従業員の状況」

ここでは、事業セグメントごとに従業員数の状況が記載されています。連結グループ全体とはいえ、4,700人もいるのはびっくりですね。「日本テレビ放送網(日テレ)」の従業員数については有価証券報告書には記載されていないものの、おそらく「メディア・コンテンツ事業」の3分の1程度、1,000人以上はいるのではないでしょうか(気になる方は会社のHPをチェックしてみてください)。

■ 【事業の状況】の実例
【事業の状況】は、経営方針や課題、事業を行う上でのリスク、当事業年度の財政状態、経営成績などの概況など会社が行なっている事業の状況について記載されている箇所となります。

・「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」
ここでは、会社の経営方針や経営環境、課題、経営戦略、中期経営目標など会社の今後の方針や課題について記載されている箇所となります。会社が現状をどのように捉えていて、今後どのような戦略で会社運営を行なっていくのかが記載されているため、会社のことをよく知れる箇所となります。
私自身、会社理解を深める際はここの記載を読むようにしています。

・「事業等のリスク」
ここでは、会社の業績に重要な影響を与える可能性があるリスク(事業等のリスク)を記載しています。会社を経営する上でリスクを完全になくすことはできません。そのリスクについて、実際にどのようなリスクがあり、そのリスクに対して会社がどのように考えているかがわかる箇所となります。
ここは会社の色が強く出る部分ではないでしょうか。細かいリスクをたくさん羅列している会社もあれば2、3個記載して終わりなど、会社の特徴が出る箇所だと思います。

・「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」
ここでは、会社の業績について定性的な情報も踏まえて解説している箇所となります。実際の決算書は、経理の状況に記載されている財務諸表となりますが、ここでは、その数値となった背景などが記載されています。なぜ当期売上が上がったのか、下がったのか、利益が上がったのか、下がったのか、キャッシュ・フローの状況はどうなのかなど定性的に記載されている箇所で、会社の財務諸表の背景などを知りたいという方はここの記載を読むと良いでしょう。

・「経営上の重要な契約等」、「研究開発活動」
ここでは、会社の経営上の重要な契約、研究開発活動について記載されています。補足的な意味合いが強い箇所ですが、重要な契約によってビジネスが支えられている会社や研究開発活動が費用のほとんどを占めている会社もあるため、そういった会社にとっては非常に重要な項目となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
当初思っていたよりも長くなってしまったため、今回は有価証券報告書の記載のうち、前半部分(前半の前半)の読み方についてのみ解説しました。

次の記事では、前半部分(前半の後半)について解説しようと思います。

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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