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とある会計士の独立開業噺〜令和3年度論文式試験を解いてみた(監査論②)グループ監査とは

開業

こんにちは。

本日も令和3年度の公認会計士試験(論文式)を解いていきます!本日は監査論の問二をみていきましょう。

(あくまで私見なので、受験生の方におかれましては受験予備校の解答速報もご確認下さい)。

なお、公認会計士試験の論文式ってどんな試験?と疑問を持たれた方は前回の記事をご覧ください。簡単ではありますが、試験についての説明を記載してます。

グループ監査とは

監査論の第二問は「グループ監査」についてでした。「グループ監査」とは、複数の構成単位からなるグループが作成する財務諸表に対する監査のことであり、連結財務諸表の監査がこれに該当するほか、個別財務諸表が複数の構成単位から作成される場合(例えば、本店、支店でそれぞれ財務情報を作成している場合)も該当します。要するに子会社・支店を含めた企業グループ全体の監査のことですね。

問題と解説

第二問は問題1〜問題4まであり、問題3にのみ小問が設定されています。このうち、問題1と2を解いてみました。

※第二問で設定されている状況を要約すると以下の通りです。

<資料 1>

①甲社グループは,国内外に子会社を有する,業界の中堅クラスの企業集団であり,販売会社の機能を有する子会社A社,B社,C社及びE社と,新規事業展開を目的とした子会社 D社から構成されている。第 21 期における甲社及び連結子会社の概要は,次のとおりで ある。

② B社の監査人X1 は,監査人Xと同一のネットワーク事務所である。

③ C社の監査人Yは,現地の監査人である。

④C社は,買収により取得した会社であり,甲社グループとの企業文化の違いは大きく,過去複数年にわたり監査人Yによる監査の過程で,会計処理の軽微な誤謬がいくつか発見されていた。

⑤ 甲社はC社の管理部門と月次の決算報告を通じてコミュニケーションを行っているが,業績面がメインの内容となり,C社の内部統制の整備・運用については,C社の経営者に任せている。

⑥D社は,甲社グループ内では異業種であり,甲社グループの主力事業との関連性が乏しく,グループ間取引は少ない状況にあった。

<資料 2 > 監査人Xの重要な構成単位の当初の判定(一部)

① 重要性の基準値の指標である税引前利益の構成比率が 15 %超の場合に,財務的重要性を有すると判断する。

② 監査人Xは甲社,A社及びB社を重要な構成単位と識別した。

第二問 問題1
監査人Xが甲社,A社及びB社のみを重要な構成単位と識別した理由を答えなさい。

(解説)

結論から言うと、「甲、A、Bの3社のみが選択した財務指標である税引前利益の構成比率が15%を超過しているから」」です。監査基準委員会報告書600のA5項には「例えば、グループ監査チームは、選択した財務指標の15%を超過する構成単位を重要な構成単位と考える場合がある。」と明記されており、実務においても15%を基準として判断を行う場面がよくあります。

また、個別の財務的重要性を有する場合以外にも、「特定の性質又は状況により、グループ財務諸表に係る特別な検討を必要とするリスクが含まれる可能性がある」場合には重要な構成単位に識別されることがあります。本問ではこの項目に該当する会社はなかったようですね。

第二問 問題2 

監査人Xは,構成単位の財務情報の監査又はレビューを実施する場合,構成単位の重要性の基準値を決定しなければならないが,一般にどのように決定すべきか,その理由とともに答えなさい。

(脱サラ会計士の解説)

一般的に、構成単位の重要性の基準値はグループ財務諸表全体としての重要性の基準値よりも低く決定すべきです。なぜなら、構成単位(子会社や支店)の監査人を利用する目的は、連結財務諸表等のグループ財務諸表全体に対する監査の実施にあリます。特殊な場合を除いて、グループ財務諸表全体の金額規模は各子会社の金額規模を上回るため、各子会社に連結財務諸表全体を上回る重要性の基準値を設定してしまうと、各子会社で識別された未修正の虚偽表示と未発見の虚偽表示の合計額がグループ財務諸表全体で許容可能な金額を上回ってしまう恐れがあるためです。

親会社監査チームとして子会社チームに監査指示を行う場合は、「連結全体の重要性の基準値よりも小さい基準値を子会社チームに指示しなければいけない」ということを覚えておきましょう。

私もこの論点は受験時代にテキストや答練で散々目にしましたし、実務においても頻繁に目にする論点です。

まとめ

如何でしたでしょうか。第一問に比べると、第二問は基礎的な内容となっており、とっつきやすい印象ですね。実務では子会社を有する監査クライアントを必ずと言っていいほど担当しますし、人によっては親会社監査チームから指示を受ける子会社監査チームとして実務にあたるケースもよくあります。親会社監査チームから指示される重要性の基準値次第で手続きの深度、繁忙感も異なってくるので、実務上もかなり気にすることになりますね。

今回は第二問から手をつけた方が精神的に余裕が持てたのでは無いかと思います。これから受験を控えている方は、一旦問題文を俯瞰して、得点を取り易い箇所から答えていくことを忘れずに(私も受験時代は簡単そうな問題を探すことに全力を注いでいました)!

ご質問があれば質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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