G-X0MQHQND78

【解説】電子帳簿保存法のQ&A(一問一答)【スキャナ保存関係】

税務

2021年7月に、国税庁から、令和3年度税制改正による電子帳簿保存法の改正に伴い、改正後電子帳簿保存法に対応した「電子帳簿保存法取扱通達」及び「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」が公表されました。

本日はこの「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」について解説をしていきます。
「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」は、【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】、【スキャナ保存関係】、【電子取引関係】に分かれて公表されており、今回は、【スキャナ保存関係】について解説を行なっていきます。

このブログでは、一部抜粋を行なって解説を行なっていきますが、全部の一問一答について確認したい方は国税庁のHPをご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm

前回の記事に「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】をアップしていますので是非チェックしてみて下さい!

Q&A(一問一答)【スキャナ保存関係】

問1 スキャナ保存制度はどのような内容となっていますか。

【回答】
スキャナ保存制度は、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除きます。)について、一定の要件の下で、書面による保存に代えて、スキャン文書による保存が認められる制度です(法43)。

問2 どのような書類がスキャナ保存の対象となりますか。

【回答】
国税に関する法律の規定により保存をしなければならないこととされている書類(国税関係書類)のうち、規則第2条第4項に規定する書類を除く全ての書類が対象となります。 なお、スキャナ保存により電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代える日前に 作成又は受領した重要書類については、所轄税務署長等に適用届出書を提出したときは、一定の要件の下、スキャナ保存をすることができます。
規則第2条第4項に規定する書類とは、具体的には棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類であり、これ以外の国税関係書類がスキャナ保存の対象となります。

問3 スキャナ保存を適用している場合、国税関係書類の書面(紙)は、スキャナで読み取った後、即時に廃棄しても問題ないでしょうか。

【回答】
令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、以下(※)の場合を除いて、スキャナで読み取り、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含む)することをいいます。以下同じです。)を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。
(※) 電磁的記録と合わせて国税関係書類の書面(紙)を保存する必要がある場合
・ 入力期間を経過した場合(【問35】のようなケースを除く)
・ 備え付けられているプリンタの最大出力より大きい書類を読み取った場合

問5 「スキャナ」とは、どのようなものをいうのでしょうか。

【回答】
「スキャナ」とは、書面(紙)の国税関係書類を電磁的記録に変換する入力装置をいい、いわゆる「スキャナ」や「複合機」として販売されている機器が該当することになります。 また、例えば、スマートフォンやデジタルカメラ等についても、上記の入力装置に該当すれば、「スキャナ」に含まれることになります(取扱通達4-16)。
なお、規則第2条第5項に規定するスキャナについては、次の要件を満たす必要があることに留意してください。
(1) スキャニング時の解像度である25.4ミリメートル当たり200ドット以上で読み取るものであること。
(2) 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上で読み取るものであること(一般書類(規則第2条第7項に規定する国税庁長官が定める書類)をスキャナ保存する場合、 白色から黒色までの階調が256階調以上で読み取るものであると。)。

問7 受領者等以外の者がスマートフォンやデジタルカメラ等を使用して読み取りを行うことは可能でしょうか。

【回答】
可能です。
この場合、国税関係書類の受領者等が読み取る場合に該当しないため、当該国税関係書類がA4以下の大きさであったとしても、大きさに関する情報の保存が必要になります。 なお、一般的には、スマートフォンやデジタルカメラ等においては、読み取りの際に、大きさに関する情報の取得等が困難となっています。このため、受領者等以外の者がスマート フォンやデジタルカメラ等を使用して読み取る場合には、大きさに関する情報を保存するために、国税関係書類の横にメジャーなどを置いて合わせて撮影する、画像ファイル作成後に大きさに関する情報を手入力するなどの対応が必要となります。 なお、規則第2条第6項第2号に規定する「受領」については、特段の定めがないことから、対面で国税関係書類の授受が行われる場合は、外部の者から国税関係書類を受け取ることを意味し、同号ハに規定する「受領をする者」については、具体的に国税関係書類を受け取った者をいうことになります。

問8 従業員が立て替えた交際費等の領収書について、所要の事項を整理した精算書とともに提出させて、帳簿代用書類として使用していますが、このような帳簿代用書類は、スキャナ保存の対象とすることができますか。また、一般書類として適時入力方式の対象となりますか。

【回答】
スキャナ保存の対象とすることができますが、一般書類から除かれているため適時入力方式の対象とはなりません。

書類分類を簡単に示すと以下の通りです(以下は国税庁HPのものではありません)。

問10 スキャナ保存を行おうと考えていますが、どのような要件を満たさなければならない のでしょうか。

【回答】
国税関係書類のスキャナ保存に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則2)。
詳しくは次の表をご覧ください。

問13 電磁的記録の書面への出力に当たっては、画面印刷(いわゆるハードコピー)による方法も認められますか。

【回答】
規則第2条第6項第5号において、電磁的記録の画面及び書面への出力機能として「整然とした形式であること」、「当該国税関係書類と同程度に明瞭であること」と規定されていますが、これはディスプレイに出力する際にファイル等が分割されることなく整然とした形式で出力することができ(【問9】参照)、保存されている電磁的記録の情報が適切に再現されるよう読み取った書類と同程度に明瞭であること(【問37】参照)などが必要となります。そのため、そのような状態で、速やかに出力できれば、画面印刷(いわゆるハードコピー) であっても認められます

問18 バックアップデータの保存は要件となっていますか。

【回答】
バックアップデータの保存は要件となっていません。
バックアップデータの保存については法令上の要件とはなっていませんが、電磁的記録は、記録の大量消滅に対する危険性が高く、経年変化等による記録状態の劣化等が生じるおそれ があることからすれば、保存期間中の可視性の確保という観点から、バックアップデータを 保存することが望まれます。
また、必要に応じて電磁的記録の保存に関する責任者を定めるとともに、管理規則を作成し、これを備え付けるなど、管理・保管に万全を期すことが望ましいと考えられます。

問21 「国税関係書類に係る記録事項の入力」を入力期間内に行うこととされていますが、 入力期間内に単なるスキャニング作業を終えていればよいのでしょうか。

【回答】
単にスキャニング作業を終えていればよいのではなく、入力期間内に、スキャニングした国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された状態又はその後の当該電磁的記録の記録事項に係る訂正又は削除の履歴等を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含みます。)に格納した状態にしなければなりません。

問23 「業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行う」とは何日以内に入力すればよいのでしょうか。

【回答】
最長では、国税関係書類の受領等から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。

問25 重要書類について速やかに入力又は業務サイクル後速やかに入力などの入力方式を、 課税期間の中途で変更することは認められるのでしょうか。

【回答】
入力方式ごとの要件を満たしていれば認められます。

問26 スマートフォンやデジタルカメラ等を使用して読み取りを行った場合、解像度について、規則第2条第6項第2号イ(1)に規定する「スキャニング時の解像度である25.4ミリ メートル当たり200ドット以上」の要件を満たしていることをどのように判断するのでしょうか。

【回答】
読み取った書類の大きさと画素数を基に判断することとなります。

問27 一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプとはどのよう なものでしょうか。

【回答】
タイムビジネスの信頼性向上を目的として、一般財団法人日本データ通信協会が定める基準を満たすものとして認定された時刻認証業務によって付与され、その有効性が証明されるものです。また、認定を受けたタイムスタンプ事業者には、「タイムビジネス信頼・安心認定証」が交付され、以下に示す「タイムビジネス信頼・安心認定マーク」を使用できることから、その事業者の時刻認証業務が一般財団法人日本データ通信協会から認定されたものであるか否かについては、この認定マークによって判断することもできます。

(国税庁ホームページより抜粋)

問29 受領の日からその業務の処理に係る通常の期間を経過した後おおむね7営業日以内にタイムスタンプを付しましたが、その後、経理担当者が電磁的記録の記録事項の確認を行ったところ、折れ曲がりなどのスキャンミスが判明し、再度読み取りを行うことが必要となりました。既に領収書の受領の日からその業務の処理に係る通常の期間を経過した後おおむね7営業日を経過してしまいましたが、どのように対応すればよいでしょうか。

【回答】
折れ曲がりなど当該領収書等と同一性が確認でき、①当初の読み取りについて、受領の日からその業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)を経過した後おおむね7営業日以内にタイムスタンプが付されていること、②当該スキャンミスを把握してからその業務の処理に 係る通常の期間(最長2か月)を経過した後おおむね7営業日以内に再度タイムスタンプを 付していること、③当該スキャンミスした電磁的記録についても読み取りし直した電磁的記 録の訂正削除履歴(ヴァージョン管理)に基づき保存している場合は、再度読み取り、タイムスタンプを付すことをもって、受領の日からその業務の処理に係る通常の期間(最長2か 月)を経過した後おおむね7営業日以内にタイムスタンプが付されているものとして取り扱います。

問30 訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除できない)システムに保存すれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができるでしょうか。

【回答】
そのシステムに入力期間内に入力したことを確認できる時刻証明機能を備えていれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができます。
この訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除ができない)システムでタイムスタンプ付与の代替要件を満たすためには、タイムスタンプが果たす機能である、ある時点以降変更を行っていないことの証明が必要となり、保存義務者が合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明する必要があると考えられます

問32 市販のヴァージョン管理ソフトを使用すれば、訂正又は削除の履歴の確保(ヴァージ ョン管理)の要件を満たしているといえるのでしょうか。

【回答】
市販のヴァージョン管理ソフトを使用しても、必ずしも要件を満たしているとはいえません。
なお、スキャナ保存の要件であるヴァージョン管理とは、次に掲げることを全て満たすも のである必要があります。
① スキャナで読み取った電子データは必ず初版として保存し、既に保存されているデータ
を改訂したもの以外は第2版以降として保存されないこと。
② 更新処理ができるのは一番新しいヴァージョンのみとすること。
③ 削除は物理的に行わず、削除フラグを立てるなど形式的に行うこととし、全ての版及び
訂正した場合は訂正前の内容が確認できること。
④ 削除されたデータについても検索を行うことができること。

問34 訂正削除を行うことができないシステムとは、どのようなシステムであれば要件を満たしているといえるのでしょうか。

【回答】
画像データを全く変更できないシステムであり、かつ、保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるシステムであれば、スキャナ保存における訂正又は削除を行うことができないものとして取り扱われます。

○ 訂正削除ができないシステムの例
内容の書き換えができない保存媒体の場合で、保存媒体へのデータ記録年月日の記録、 保存媒体自体に変更又は複製できない一連番号等を記録し、保存媒体自体の差し替え及び 破棄を防止するなど、保存媒体自体の管理が適切に行われていることなどにより、保存さ れているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるようなシステム(具体的 には、例えば、他者であるクラウド事業者が提供するクラウドサービスにおいてスキャナ 保存し、利用者側では訂正削除できないクラウドシステム)

問35 「国税関係書類の入力を行う者」とは、単にスキャニングを行う者のことをいうのでしょうか。

【回答】
「国税関係書類の入力を行う者」とは、単にスキャニングを行う者のことをいうのではなく、スキャナで読み取った画像と書面(紙)の記載事項や色調と同等であることなどを確認した者をいうこととなります。

問42 スキャナで読み取った画像データをテキスト化することができない場合でも、検索の条件として取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を設定することができなければならないのでしょうか。

【回答】
規則第2条第6項第6号の検索機能は、①取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること、②日付又は金額に係る記録項目については その範囲を指定して条件を設定することができること、③二以上の任意の記録項目を組み合 わせて条件を設定することができることが要件となります。
したがって、スキャナで読み取った画像データをテキスト化して保存することができる機能などが備わっていない場合であっても、スキャナで読み取った国税関係書類に係る取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を手入力するなどして、検索の条件として設定することができるようにする必要があります。
なお、税務職員による質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることがで きるようにしている場合には、上記2及び3の機能の確保は不要となります。
(注) スキャナ保存の検索機能における取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先については、取扱通達4-34 をご参照ください。

問43 適時に入力する方法が可能な一般書類とは、具体的にどのような書類が対象となるのでしょうか。

【回答】
規則第2条第7項において、国税関係書類のうち国税庁長官の定める書類(一般書類)については、入力期間の制限なく入力することができることとされており、その書類について は平成17年国税庁告示第4号により告示されています。
この告示により、例えば、次のような書類が入力期間の制限なく適時に入力することがで きます。
イ 保険契約申込書、電話加入契約申込書、クレジットカード発行申込書のように別途定型的な約款があらかじめ定められている契約申込書
ロ 口座振替依頼書
ハ 棚卸資産を購入した者が作成する検収書、商品受取書
ニ 注文書、見積書及びそれらの写し
ホ 自己が作成した納品書の写し

問44 一般書類であれば、過去に遡って保存されている書類をスキャナ保存に代えてもいいのでしょうか。

【回答】
資金や物の流れに直結・連動しない書類(平成17年国税庁告示第4号に定めるもの)(一般書類)で、要件に沿って保存することが可能であれば、過去に受領等した書類についてもスキャナ保存ができます。

問45 一般書類について、タイムスタンプはいつまでに付せばいいのでしょうか。

【回答】
一般書類へのタイムスタンプについては、次のいずれかにより付すこととなります。
① 作成又は受領後、おおむね7営業日以内(事務処理規程を定めている場合には、その業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)を経過した後おおむね7営業日以内)に付す。
② (①の期間を過ぎたものについては)正しく読み取られていることを確認した都度付す。

問50 当社は過去分重要書類のスキャナ保存に当たって、対象となる書類が膨大にあるのですが、数か月間に渡ってスキャナ保存の作業を行うことも可能でしょうか。

【回答】 過去分重要書類のスキャナ保存については入力期間の制限はありませんので、数か月間に渡ってスキャナ保存の作業を行うことも可能です。

問57 自社で使用するスキャナソフト等について、電子帳簿保存法の要件を満たしているか分からないのですが、どのようにしたらよいですか。

【回答】
まずは当該ソフトウェアの取扱説明書等で電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認してください。また、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」とい います。)において、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下「ソフトウェア等」 といいます。)を対象に、電子帳簿保存法における要件適合性の確認(認証)を行っており、 JIIMAが確認(認証)したソフトウェア等については、そちらでも確認することができます。

問60 令和3年度の税制改正後のスキャナ保存の要件で保存を行えるのはいつからですか。

【回答】
令和4年1月1日以後に保存する一定の国税関係書類について、改正後の要件によりスキャナ保存を行うことができます。

問61 当社の課税期間は、令和3年4月1日から令和4年3月31日までですが、令和4年1 月1日以後に保存する国税関係書類について新たにスキャナ保存を行いたいと考え ています。その場合、課税期間の途中からスキャナ保存を行うことはできますか。

【回答】
法令に定めるスキャナ保存の要件を満たせば、課税期間の途中からでもスキャナ保存を行うことは可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」の【スキャナ保存関係】について解説を行いました。次の記事では、【電子取引関係】について解説を行なっていきます!

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

コメント

タイトルとURLをコピーしました