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【解説】電子帳簿保存法のQ&A(一問一答)【電子取引関係】

税務

2021年7月に、国税庁から、令和3年度税制改正による電子帳簿保存法の改正に伴い、改正後電子帳簿保存法に対応した「電子帳簿保存法取扱通達」及び「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」が公表されました。

本日はこの「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」について解説をしていきます。
「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」は、【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】、【スキャナ保存関係】、【電子取引関係】に分かれて公表されており、今回は、【電子取引関係】について解説を行なっていきます。

このブログでは、一部抜粋を行なって解説を行なっていきますが、全部の一問一答について確認したい方は国税庁のHPをご参照下さい。https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm

前回の記事に「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」【スキャナ保存関係】をアップしていますので是非チェックしてみて下さい!

Q&A(一問一答)【電子取引関係】

問1 電子取引の制度はどのような内容となっていますか。

【回答】
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者が取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項) を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合には、その取引情報を電磁的記録により保存しなければならないという制度です(法7)。

問2 電子取引とは、どのようなものをいいますか。

【回答】
「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)。 なお、この取引情報とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。 具体的には、いわゆるEDI取引インターネット等による取引電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。

問3 電子メールを受信した場合、どのように保存すればよいのでしょうか。

【回答】
電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)を行った場合についても電子取引に該当するため(法2五)、その取引情報に係る電磁的記録の保存 が必要となります(法7)。具体的に、この電磁的記録の保存とは、電子メール本文に取引情 報が記載されている場合は当該電子メールを、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領 収書等)が授受された場合は当該添付ファイルを、それぞれ、ハードディスク、コンパクト ディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にすることをいいます。

問5 電子取引には、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合 を含む。)が該当するとのことですが、全ての電子メールを保存しなければなりませんか。

【回答】
この取引情報とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、領収書等に通常記載される事項をいう(法2五)ことから、電子メールにおいて授受される情報の全てが取引情報に 該当するものではありません。したがって、そのような取引情報の含まれていない電子メー ルを保存する必要はありません。
具体的には、電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを保存する必要がありますが、電子メールの添付ファイルにより授受された取引情報(領収書等)に ついては当該添付ファイルのみを保存しておけばよいことになります。

問6 当社は、取引先からクラウドサービスを利用して請求書等を受領しておりますが、クラウドサービスを利用して受領した場合には、電子取引に該当しますか。

【回答】
クラウドサービスを利用して取引先から請求書等を受領した場合にも、電子取引に該当します。

問7 いわゆるスマホアプリによる決済を行いましたが、この際にアプリ提供事業者から利用明細等を受領する行為は、電子取引に該当しますか。

【回答】
アプリ提供事業者から電磁的方式により利用明細等を受領する行為は、電子取引に該当します。そのため、当該利用明細等に係る取引データについて保存する必要があります。

問8 従業員が会社の経費等を立て替えた場合において、その従業員が支払先から領収書を電子データで受領した行為は、会社としての電子取引に該当しますか。該当するとした場合には、どのように保存すればよいのでしょうか。

【回答】
従業員が支払先から電子データにより領収書を受領する行為についても、その行為が会社の行為として行われる場合には、会社としての電子取引に該当します。そのため、この電子 取引の取引情報に係る電磁的記録については、従業員から集約し、会社として取りまとめて 保存し、管理することが望ましいですが、一定の間、従業員のパソコンやスマートフォン等 に保存しておきつつ、会社としても日付、金額、取引先の検索条件に紐づく形でその保存状 況を管理しておくことも認められます。
なお、この場合においても、規則第4条第1項各号に掲げる措置を行うとともに、税務調 査の際には、その従業員が保存する電磁的記録について、税務職員の求めに応じて提出する 等の対応ができるような体制を整えておく必要があり、電子データを検索して表示するとき は、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるように管理しておく 必要があります(【問 23】参照)。

問10 当社の課税期間は、令和3年4月1日から令和4年3月31日までですが、令和4年 1月1日以後に保存を行えば、同日前に行った電子取引の取引情報について、令和3年 度の税制改正後の保存要件に従って保存することは認められますか。

【回答】
令和4年1月1日前に行った電子取引の取引情報については、改正後の保存要件により保存することは認められません。

問11 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合には、どのような要件を満たさなければならないのでしょうか。

【回答】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則22一イ 、二、6六、七、41)。 なお、詳しくは下記の表をご覧ください。

問12 妻と2人で事業を営んでいる個人事業主です。取引の相手方から電子メールにPDFの請求書が添付されて送付されてきました。一般的なパソコンを使用しており、プリンタも持っていますが、特別な請求書等保存ソフトは使用していません。どのように保存しておけばよいですか。

【回答】
例えば、以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。
1 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。
例) 2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書
⇒「20221031_(株)国税商事_110,000」
2 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。
3 【問24】に記載の規程を作成し備え付ける。
※ 税務調査の際に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータに
ついて提出してください。
※ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が1,000万円以下であり、上
記のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、上記1の設定は
不要です。

問22 請求書や領収書等を電子的に(データで)受け取った場合、どのように保存すればよいですか。

【回答】
電子的に受け取った請求書や領収書等については、データのまま保存しなければならないこととされており(法7)、その真実性を確保する観点から、以下のいずれかの条件を満たす必要があります(規41)。
(1) タイムスタンプが付与されたデータを受領(規41一)
(2) 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付与(規41二)
※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。
(3) データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用(規41三)
(4) 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け(規41四)
また、事後的な確認のため、検索できるような状態で保存すること(規26六)や、ディ スプレイ等の備付け(規22一イ、二)も必要となります。

問23 電子取引の取引データの保存について、複数の改ざん防止措置が混在することは認 められますか。また、電子データの格納先(保存場所)を複数に分けることは認められ ますか。

【回答】
電子取引の取引データの授受の方法は種々あることから、その授受したデータの様態に応じて複数の改ざん防止措置が混在しても差し支えありません。 また、電子データの格納先や保存方法についても、取引データの授受の方法等に応じて複数に分かれることは差し支えありませんが、電子データを検索して表示する場合には、整然 とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるように管理しておく必要があります。

問26 当社は、取引先との間で、クラウドサービスを利用し請求書を受領しています。この場合において、取引先から確認のため電子メールでも請求書が送られてきましたが、同一の請求書を2つの電子取引により受領したときには、どちらの電子データを保存すればよいでしょうか。

【回答】
請求書をクラウドサービスにより受領したものと電子メールにより受領したものがある場合のように、同一の請求書を2つの電子取引により受領したときについては、それが同一のものであるのであれば、いずれか一つの電子取引に係る請求書を保存しておけばよいこととなります。

問27 電子取引を行った場合において、取引情報をデータとして保存する場合、どのような保存方法が認められるでしょうか。

【回答】
電子取引を行った場合には、取引情報を保存することとなりますが、例えば次に掲げる電子取引の種類に応じて保存することが認められます。

1 電子メールに請求書等が添付された場合
(1) 請求書等が添付された電子メールそのもの(電子メール本文に取引情報が記載されたも のを含みます。)をサーバ等(運用委託しているものを含みます。以下同じです。)自社シ ステムに保存する。
(2) 添付された請求書等をサーバ等に保存する。

2 発行者のウェブサイトで領収書等をダウンロードする場合
(1) PDF等をダウンロードできる場合
① ウェブサイトに領収書等を保存する。
② ウェブサイトから領収書等をダウンロードしてサーバ等に保存する。
(2) HTMLデータで表示される場合
① ウェブサイト上に領収書を保存する。
② ウェブサイト上に表示される領収書をスクリーンショットし、サーバ等に保存する。
③ ウェブサイト上に表示されたHTMLデータを領収書の形式に変換(PDF等)し、サーバ等に保存する。

3 第三者等が管理するクラウドサービスを利用し領収書等を授受する場合
(1) クラウドサービスに領収書等を保存する。
(2) クラウドサービスから領収書等をダウンロードして、サーバ等に保存する。

4 従業員がスマートフォン等のアプリを利用して、経費を立て替えた場合
従業員のスマートフォン等に表示される領収書データを電子メールにより送信させて、自社システムに保存する。
なお、この場合にはいわゆるスクリーンショットによる領収書の画像データでも構いません。
おって、これらのデータを保存するサーバ等は可視性および真実性の要件を満たす必要がありますので注意してください。

問30 具体的にどのようなシステムであれば、訂正又は削除の履歴の確保の要件を満たしているといえるのでしょうか。

【回答】
規則第4条第1項第3号に規定する訂正又は削除の履歴の確保の要件を満たしたシステムとは、例えば、
① 電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除について、物理的にできない仕様とされているシステム
② 電磁的記録の記録事項を直接に訂正又は削除を行った場合には、訂正・削除前の電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除の内容について、記録・保存を行うとともに、事後に検索・閲覧・出力ができるシステム等が該当するものと考えます。

問31 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、検索機能で注意すべき点はありますか。

【回答】 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。
(1) 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
(2) 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
(3) 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

問34 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存する際の要件のうち、検索機能の確保の要件が不要とされる場合の「判定期間に係る基準期間の売上高が1,000万円以下の場合」とは、どのように判断すればよいのでしょうか。

【回答】 個人事業者については、電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間の売上高、法人については、電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事 業年度の売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断します。
なお、売上高が1,000万円を超えるかどうかの判断基準については、消費税法第9条の小規 模事業者に係る納税義務の免除の課税期間に係る基準期間における課税売上高の判断基準の 例によりますが、例えば、判定期間に係る基準期間がない新規開業者、新設法人の初年(度)、 翌年(度)の課税期間などについては、検索機能の確保の要件が不要となります。

問38 自社で使用する電子取引用のソフト等について、電子帳簿保存法の要件を満たしているか分からないのですが、どのようにしたらよいですか。

【回答】
まずは当該ソフトウェアの取扱説明書等で電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認してください。また、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」といいます。)において、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下「ソフトウェア等」といいます。)を対象に、電子帳簿保存法における要件適合性の確認(認証)を行っており、JIIMAが確認(認証)したソフトウェア等については、そちらでも確認することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」の【電子取引関係】について解説を行いました。

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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