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【簡単に!】グループ通算制度をQ&Aで理解しよう〜申請書、青色申告、消費税など15選

法人税

こんにちは。今回はグループ通算制度に関する疑問点について、国税庁が公表しているQ&Aを用いて解説していきます。令和4年度からグループ通算制度が開始しますが、制度移行の方法や承認申請書のルール、青色申告や消費税など、実務で役立つQ&Aを中心にまとめていきます。

今回紹介するもの以外にも国税庁のホームページでは約80のQ&Aが掲載されているので、もっと詳しく知りたいという方はリンク先で確認してみてください!

グループ通算制度に関するQ&A(令和2年6月)(令和2年8月、令和3年6月改訂、令和4年7月改訂)|国税庁

(【参考】国税庁HP:グループ通算制度に関するQ&A(令和2年6月)(令和2年8月、令和3年6月改訂)

また、『名前は聞くけど「グループ通算制度」って何だっけ?』という方や、『現行の連結納税制度との違いを知りたい』という方は前回記事で解説していますので、こちらもどうぞ。

制度移行に関するQ&A

まずはグループ通算制度への移行手続き関係のQ&Aです。

Q1:連結法人の通算制度への移行に関する手続

【質問】
連結納税制度の適用を受けている法人は、通算制度の施行日である令和4年4月1日以後に開始する事業年度についてはどのような申告を行うこととなりますか。
【回答】
令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度からは、連結納税制度に代えて通算制度の適用を受けることとなり、通算法人として申告を行うこととなります。
 ただし、連結親法人が令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに税務署長に「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を提出した場合には、その連結親法人及び連結子法人は令和4年4月1日以後に開始する事業年度については連結納税制度及び通算制度のいずれも適用しない法人として申告を行うこととなります。

現在、連結納税制度を適用している会社で「グループ通算制度への移行はしない」という場合は令和4年4月1日移行最初に開始する事業年度開始日の前日迄に税務署長への届出が必要となりますので要注意です。

 

Q2:連結法人が通算制度へ移行する場合におけるe-taxによる申告の特例に係る届出書の提出の要否

【質問】
連結納税制度の適用を受けている連結親法人P社及びP社の連結子法人であるS社(いずれも3月決算)は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から通算制度へ移行することとしました。
 P社はe-Taxによる申告を要する特定法人には該当していませんが、従来からe-Taxによる申告を行っています。
 ところで、通算法人はe-Taxによる申告を要する特定法人に該当し、この特定法人については、「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出する必要があると聞きました。この場合において、P社及びS社は、通算制度への移行により通算制度の承認の効力が生じたことに伴い「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出する必要がありますか。
【回答】
P社及びS社は、通算制度の承認の効力が生じた日である令和4年4月1日から1月以内に「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出する必要があります。

 

Q3:連結法人が通算制度へ移行する場合における確定申告書の提出期限の延長の特例について

【質問】
連結納税制度の適用を受けている連結親法人P社及びP社の連結子法人であるS社 (いずれも3月決算)は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度において通算制度 へ移行することとしました。
 P社は連結確定申告書の提出期限の延長の特例の承認を受けていますが、P社及びS社は、通算制度へ移行後も 連結納税制度と同様に確定申告書の提出期限の延長の特例の規定を適用したいと考えています。この場合、P社及びS社は確定申告書の提出期限の延長手続を行う必要がありますか。
【回答】
P社及びS社は、確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用について特段の手続を行う必要はありません。

 

Q4:通算制度へ移行しなかった法人の確定申告書の提出期限の延長の特例について

【質問】
連結納税制度の適用を受けている連結親法人A社は、「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出し、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から通算制度を適用しないこととしました。
 A社は連結確定申告書の提出期限の延長の特例の承認を受けていますが、A社及びA社の連結子法人であるB社は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度において、それぞれ確定申告書の提出期限の延長の特例の規定を適用したいと考えています。
 この場合、A社及びB社は確定申告書の提出期限の延長手続を行う必要がありますか。
 なお、A社及びB社は連結納税制度適用前の各事業年度において、確定申告書の提出期限の延長の特例の規定の適用は受けていません。
【回答】
A社及びB社は、「申告期限の延長の特例の申請書」をそれぞれの納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

通算制度へ移行しない場合には届出が必要となり、移行する場合と取り扱いが異なりますので注意が必要です。

承認申請書に関するQ&A

続いては承認申請書関係のQ&Aです。

Q5:通算制度の承認の申請書の提出期限

【質問】
P社(12月決算)は、自X5年1月1日至X5年12月31日事業年度から自社を通算親法人とする通算制度の適用を受けるため、通算制度の承認の申請書を提出する予定ですが、その提出期限はいつになりますか。
【回答】
P社の通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度(自X5年1月1日至X5年12月31日事業年度)の開始の日の3月前の日(X4年9月30日)となります。
 なお、通算親法人となるP社及び通算子法人となる法人の全てが連名で、通算制度の承認の申請書をP社の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出することとされています。

承認の提出は①適用事業年度開始の3ヶ月前まで、②対象法人全ての連名が必要、である点がポイントです。

 

Q6:通算グループへの加入制限がある法人が再加入する場合のみなし承認

【質問】
通算親法人P社は、X3年12月1日にS社(3月決算)の発行済株式の全部を取得し、S社との間に完全支配関係を有することとなりました。このS社は、過去にP社の通算子法人でしたが、X1年12月1日にP社がS社の株式を通算グループ外の第三者に売却して完全支配関係を有しなくなったことにより、通算承認の効力を失うこととなりました。この場合、S社はいつの時点でP社の通算グループに再加入することになるのでしょうか。
【回答】
S社は、通算承認の効力を失った日(X1年12月1日)以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日の翌日(X7年4月1日)から、P社の通算グループに再加入することになります。

 

Q7:承認申請の却下事由

【質問】
通算制度の承認申請が却下されるのは、どのような場合ですか。
【回答】
通算予定法人(通算親法人となることができる法人又は通算子法人となることができる法人をいいます。以下同じです。)のいずれかがその申請を行っていない場合通算予定法人について所得の金額等の計算が適正に行われ難いと認められる場合等に却下されることとなります。

承認申請が却下されないよう、所得金額の計算は適正に行なっておくことが大事ですね。

 

Q8:通算制度の承認の効力を失う場合

【質問】
通算制度の承認の効力を失う場合とは、どのような場合ですか。
【回答】
 通算法人が青色申告の承認の取消処分の通知を受けた場合には、その通知を受けた日から、その通算法人の通算制度の承認の効力を失うこととなります。 
 また、通算親法人が解散したこと、通算子法人が通算親法人との間に通算完全支配関係を有しなくなったこと等一定の事実が生じた場合にも、それぞれ一定の日において通算制度の承認の効力を失うこととなります。

 

Q9:通算制度の適用の取りやめにおける対象法人

【質問】
個々の通算法人が通算制度の適用の取りやめを行うことはできますか。
【回答】
通算制度の適用の取りやめの申請は、通算法人の全てが連名で行う必要があるため、個々の通算法人がその申請を行うことはできません。

グループ通算制度の取りやめは適用グループ会社全体の総意が必要、ということですね。

 

青色申告に関するQ&A

続いては青色申告関係です。

Q10:通算制度へ移行しなかった法人の青色申告の承認申請について

【質問】
S社(3月決算)は、その設立初年度から連結親法人P社(3月決算)の連結子法人に該当することから、これまで青色申告の承認申請は行っていません。
  この度、P社が「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出したことから、S社は令和4年4月1日以後に開始する事業年度から通算制度が適用されないこととなります。
  一方、S社は、自令和4年4月1日至令和5年3月31日事業年度において青色申告を行おうと考えています。

(1) S社は「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がありますか。
(2) S社が「青色申告の承認申請書」を提出する必要がある場合、その提出期限はいつになりますか。
【回答】
(1) S社は「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
(2) S社の「青色申告の承認申請書」の提出期限は、最終の連結事業年度の翌事業年度開始の日以後3月を経過した日の前日である令和4年6月30日となります。

 

Q11:通算制度の承認申請と青色申告の承認申請との関係

【質問】
P社は、いわゆる設立事業年度等の承認申請特例を適用し、設立事業年度から通算制度の規定の適用を受けるために、通算制度の承認申請書をその提出期限内に提出しました。 
 ここで、P社は、この通算制度の申請が却下された場合でも設立事業年度から青色申告を行うことができるよう、「青色申告の承認申請書」についてもその提出期限内に提出しました。

(1) P社の通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の前日までに通算制度の承認の申請が承認又は却下されなかった場合、青色申告の承認申請はどのように取り扱われますか。
(2) 通算制度の承認の申請が却下された場合、青色申告の承認申請はどのように取り扱われますか。
【回答】
(1) その通算制度の承認の効力が生じた日において青色申告の承認があったものとみなされます。
(2) その青色申告の承認申請について設立事業年度終了の日までに承認又は却下されなかったときは、その日において青色申告の承認があったものとみなされます。

 

Q12:通算離脱法人に係る青色申告の承認手続

【質問】
当社は、設立事業年度から通算制度の規定を適用して申告を行っている通算子法人であることから、青色申告に係る承認申請を行っていません。将来、通算親法人が当社の発行済株式を通算グループ外の第三者に譲渡することにより通算完全支配関係を有しないこととなった場合には、当社は、通算グループから離脱して申告をすることとなりますが、引き続き青色申告を行いたいと考えています。 
 この場合、青色申告の承認を受けるための申請手続を行う必要はありますか。
【回答】
青色申告の承認を受けるための申請手続を行う必要はありません。

 

Q13:通算法人に対する青色申告の承認の取消し

【質問】
通算法人が青色申告の承認の取消しの処分の通知を受けた場合、通算制度の承認の効力も失われることとなりますか。
【回答】
青色申告の承認の取消しの処分の通知を受けた日から、その通知を受けた通算法人は通算制度の承認の効力を失うこととなります。
 また、通算法人の青色申告の承認については、青色申告の承認の取消しの通知を受けた日の前日(当該前日が通算親法人の事業年度終了の日である場合には、その通知を受けた日)の属する事業年度以後、その効力を失うこととなります。

 

税率・消費税に関するQ&A

最後に、税率や消費税関係です。特に留意すべきポイントは少ないですが、念のため確認しましょう。

Q14:通算法人の法人税の税率

【質問】
通算法人に適用される法人税の税率はどのようになっていますか。
【回答】
普通法人である通算法人は23.2%、協同組合等である通算法人は19%の税率が適用されます。また、中小通算法人等の所得金額のうち軽減対象所得金額以下の金額は15%の税率が適用されます。

 

Q15:消費税等の処理方法

【質問】
通算グループ内の各通算法人の消費税等に係る経理処理(税抜経理方式・税込経理方式)の方法を統一する必要はありますか。
【回答】
消費税等に係る経理処理の方法を統一する必要はありません。

 消費税等に係る経理処理については通算法人ごとに税抜経理方式、税込経理方式又は併用方式のいずれかにより処理することが出来ます。

 

まとめ

如何でしたでしょうか。

今回はよく質問がありそうな項目に絞ってQ&Aを厳選してみましたが、まだまだ知りたい!という方は国税庁のホームページで確認が出来ますよ。

「これが知りたいな」というものがそっくりそのまま質問として掲載されていることもあると思うので、要チェックです。

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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