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【わかりやすく!】事業承継について解説③〜事業承継時における株価評価とは

所得税

みなさん、こんにちは。今回は事業承継をテーマに解説をしていきます。事業承継を行う際に株式を譲渡する場面が出てきますが、上場していない中小企業や家族経営の会社の場合にはどのように株価を算定したらよいでしょうか?

一言に株価評価といっても会社の従業員数や取引高に応じて採用する評価方法が異なってきたり、複数の評価方法を併用する場合の併用割合が異なります。

この複雑そうな事業承継時の株価評価方法についてわかりやすく解説していきますので、ぜひチェックしてみてください!

前回の記事でも事業承継について解説を行なっておりますので興味のある方はこちらもどうぞ。

まずは株式を取得する株主の判定を行う

事業承継時に贈与又は相続により取得した非上場株式は、『財産評価基本通達』に従って評価を行ないます。

具体的な評価の手順は以下のようになります。

①株主の判定

②会社規模の判定

③特定の評価会社の判定

④評価

最初に株主の判定として株主に同族株主がいるかどうかを確認する必要があります。

これは、同族株主が株式を取得する場合と同族株主以外が株式を取得する場合で採用する評価方法が異なってくるためです。

同族株主が株式を取得する場合には原則的評価方式による評価が採用され、同族株主以外の株主が株式を取得する場合は配当還元方式による評価が行われます。

株主ごとの評価方法を図表にまとめると以下のようになります。

採用する評価方法を誤ってしまうと適切な株価の算定が出来なくなってしまいますので、まず最初に株主ごとに採用すべき評価方法をしっかりと確認しておきましょう。

なお、同族株主とは以下の条件を満たす株主のことをいいます。

■株主とその株主の同族関係者の有する議決権割合が30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者(※)のこと

■議決権割合が50%超を占める株主及びその株主の同族関係者がある場合には、そのグループが「同族株主」となり、30%以上のグループに属している株主は「同族株主等」には該当しない

※同族関係者とは、株主の配偶者及び6親等内の血族、3親等内の姻族、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者、株主の使用人等をいいます。

会社規模による評価方法の判定

前項で触れた通り、同族株主が株式を取得する場合には①純資産価額方式と②類似業種比準方式の2つのいずれか、もしくは併用により株価算定を行うこととなります。

財産評価基本通達では、会社の規模(大会社、中会社、小会社)に応じて評価方法を定めており、主に従業員数、総資産、取引高が判定基準となっています。

①従業員数基準

従業員数が70名以上であれば「大会社」に該当、70名未満の場合には②「従業員数・総資産基準」、「取引高基準」で判定

②「従業員数・総資産基準」、「取引高基準」(いずれか大きい方で判定)

従業員数及び総資産価額によって決定される会社規模と、取引高金額によって決定される会社規模のうち、いずれか大きい方が採用されます。

上記の基準によって決定した会社規模に応じて、事業承継時の株価の評価方法が決まってきますが、大会社では「類似業種比準価額」により、中会社と小会社では「類似業種比準価額」と「純資産価額」の併用による評価方式が用いられます。

原則的評価方式(純資産価額方式、類似業種比準価額方式)とは

続いて、上記で紹介した各評価方式について具体的な評価手順を解説していきます。

まず原則的評価方式である純資産価額方式、類似業種比準価額方式からみていきましょう。

■純資産価額方式

純資産価額方式とは、純資産の帳簿価額に実効税率等を加味した含み益を加算した金額を発行済株式総数で割ることで株価を算出する方式です。

※含み益に加味するパーセンテージは改正により変更される場合があります

■類似業種比準価額方式

類似業種比準価額方式とは、類似業種の価値を基準として株価を算出する方式です。なお、参考とする類似企業の価値は国税庁のホームページ内の「業種目別株価等一覧表」にて確認することが可能です。

類似業種の価値をベースとして、自社及び類似業種の配当金額、利益金額、純資産価額を用いて株価を算定していきます。

会社規模によってしん酌率が異なってきますので、事前に大会社、中会社、小会社のいずれに該当するのかをきちんと確認しておくことが重要です。

特例的評価方式(配当還元方式)とは

続いて、特例的評価方式による計算方法を確認していきましょう。

前述の通り、非同族株主が株式を取得する場合には特例的評価方式である配当還元方式により株価が評価されます。

簡単に説明すると、株主が得ることのできる配当金額を一定の利率で割り戻すことによって計算を行う方法のことです。

なお、年配当金額が2円50銭未満となる場合、又は無配当の場合には年配当金額は2円50銭として計算を行います。

配当金額には期末配当金額のみでなく、中間配当も含める他、特別配当や記念配当などの臨時的な配当は含めない点に留意が必要です。

原則的評価方式に比べ、配当還元方式の方が評価額が低く算定されることとなりますが、仮に原則的評価方式の方が株価が低くなる場合には、取得者が非同族株主であっても、原則的評価方式で評価することが可能です。

まとめ

如何でしたでしょうか。

事業承継にあたっての株価算定方式を説明してきましたが、まずは適用する計算方法をきちんと確認した上で株価算定を進めていくことが重要となります。

それでは本日のポイントまとめです。

・株式を取得する者が同族株主の場合には原則的評価方式(純資産価額方式、類似業種比準価額方式)を利用する

・株式を取得する者が非同族株主の場合には配当還元方式を利用する

・純資産価額方式、類似業種比準価額方式の採用は会社規模に応じて決定される

・一般的には原則的評価方式に比べ、配当還元方式の方が評価額が低く算定される

個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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