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【わかりやすく!】事業承継について解説②〜特例事業承継税制は令和5年までに対応しよう

所得税

みなさん、こんにちは。今回のテーマは特例事業承継税制についてです。

事業承継を行う場合、特に親族承継の場合には相続や贈与が発生するため、贈与税・相続税がかかってきます。

「事業を承継するだけなのに税金がかかるの?」と疑問に思われる方もいると思いますが、一定の要件を満たせば贈与税・相続税の納付が免除される特例事業承継税制という制度があります。

どのようにすれば特例事業承継税制を適用することができるのか、わかりやすく解説していきますのでぜひチェックしていって下さい!

前回の記事では事業承継の概要について解説していますのでよろしければこちらもどうぞ。

事業承継税制の概略

事業承継税制は、円滑化法に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。

事業承継時に後継者へ株式を承継する際の税務負担が重くなることで円滑な事業承継が阻害されてしまうため、事業承継の円滑化を図るための制度となっています。

この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

法人版事業承継税制

後継者である受贈者・相続人等が、非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、株式に係る贈与税・相続税の猶予・免除がされる制度です

個人版事業承継税制

個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業を行なっていた事業者の後継者が、贈与又は相続等により取得した特定事業用資産に係る贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です

「個人版事業承継税制」は令和元年度の税制改正により創設された比較的新しい制度となります。

なお、「法人版事業承継税制」については平成30年の税制改正により特例が設けられました。

この特例事業承継税制と従前の事業承継との違いについては次節でご紹介していきます。

特例事業承継税制について

法人版事業承継税制では、平成30年の税制改正により特例が設けられましたが、主に以下の点で納税者に有利な内容へと改正されています。

緩和された要件
・納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2)の撤廃
・納税猶予割合の引上げ(80%から100%)

猶予対象となる株式数の制限が撤廃され、さらに納税猶予割合が100%となったことで自社株の承継時に贈与税と相続税が一切かからない仕組みとなりました。

従前の事業承継税制からの改正点をまとめると下表となります。

なお、特例事業承継税制は時限立法ですので、承継計画の提出及び贈与・相続を以下の期間までに行う必要があることに特に留意が必要です。

特例承継計画の提出:令和5年3月31日まで
贈与・相続の実施:令和9年12月31日まで

特例事業承継税制の仕組み

続いて、特例事業承継税制の仕組みを理解して手続きの流れをおさえていきましょう。

STEP①:特例承継計画の作成・提出

まずは特例事業承継計画を作成を行います。

特例事業承継計画は会社が認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、商工会議所等)の指導・助言を受けて作成する必要があり、令和5年3月31日までに各都道府県知事へ提出します。

特例事業承継計画のフォーマットは中小企業庁のホームページにて公開されており、主な記載項目は以下の通りです。

・会社について

・特例代表者について

・特例後継者について

・特例代表者が有する株式を特例後継者が取得するまでの期間における経営の計画について

・特例後継者が株式等を承継した後5年間の経営計画

・認定経営革新等支援機関

(参考:中小企業庁ホームページ)

中小企業庁:法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類
法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類

STEP②:生前贈与もしくは相続開始

特例事業承継計画の作成が完了したら生前贈与・相続開始の実行へと進みます。

生前贈与の場合には贈与者は贈与時に会社代表者を退任し、後継者が代表者に就任している必要があります。

代表者を交代した上で株式の譲渡を行うことが求められますので留意しましょう。

一方、相続の場合には、相続開始前の代表者退任は不要となります。

相続後に代表者を退任し、後継者は相続開始後5ヶ月以内に代表者に就任する必要があります。

STEP③:認定申請と贈与税、相続税申告

贈与及び相続開始後には期限内に都道府県の担当部局に認定申請を行う必要があります。

○贈与の場合:贈与日の翌年1月15日

○相続の場合:相続開始日から8ヶ月以内

認定書の写しとともに、贈与税・相続税の申告を行います。

申告時に猶予税額とこれに対する利子税に相当する担保提供を行うことで後継者の贈与税・相続税が100%猶予されます。

STEP④:経営承継期間

贈与税・申告税の申告期限の翌日からは5年間の経営承継期間となり、後継者が事業を継続していく必要があります。

その間、代表者であること、株式等の保有継続等といった要件を満たす必要があります。

STEP⑤:贈与税・相続税の免除

【贈与税】

先代経営者が亡くなると、後継者が猶予されていた贈与税は全額免除されます。

その他、会社の倒産や後継者への免除対象贈与、後継者が先に亡くなった場合等にも贈与税が免除されます。

【相続税】

後継者が亡くなると、後継者が猶予されていた相続税は全額免除されます。

その他、会社の倒産や後継者への免除対象贈与の場合等にも相続税が免除されます。

特例事業承継税制の要件

特例事業承継税制の適用を受けるには、適用を受ける際の要件と納税の猶予後に守る必要がある事後要件があります。

納税猶予の適用要件を満たした場合であっても、事後要件を満たせない場合には猶予税額を納付する必要がありますので、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

【適用時の要件】

【事後要件】

事後要件のうち、経営承継期間と呼ばれる申告期限翌日から5年間は厳しい要件が課されていますが、当該期間経過後は雇用割合要件が無くなるほか、上場会社、風俗営業会社の制限も無くなります。

まとめ

如何でしたでしょうか。

特例事業承継制度を上手に活用することで事業承継に係る税負担を軽減することができますので、適用要件をしっかりと確認しておきましょう。

最後に今回の解説まとめです。

・特例事業承継税制が適用されれば贈与税・相続税が掛からなくなる

・特例承継計画の提出は令和5年3月31日までに行う必要がある

・特例承継計画の作成には税理士・公認会計士等の所見が必要

・特例事業承継税制の対象は令和9年12月31日までに実施された贈与・相続となる

・特例事業承継税制の適用後、経営承継期間における要件を遵守できなかった場合には猶予された税金を納付する必要がある

解説した内容に不明点があればいつでもお問い合わせください。

個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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