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【簡単に!】グループ通算制度を解説②〜SRLYルール、受取配当等の個別論点をおさえる

法人税

今回もグループ通算制度をテーマに解説をしていきます。

前回の記事でグループ通算制度の概要について説明しましたが、今回はもう少し細かい個別論点を確認していきましょう。

あまり聞き慣れないSRLYルールや受取配当、外国税額控除、試験研究費について取り扱いますので、これらの論点のポイントをおさえたい方はぜひチェックしていってください!

(前回の記事はこちらからどうぞ!↓)

グループ通算制度におけるSRLYルール

まず初めにSRLYルールについて解説していきます。

「SRLY」とは、Separate Return Limited Yearの略であり、欠損金の繰越控除を自己の所得の範囲内に限定するルールのことをいいます。グループ通算制度では、親法人・子法人ともにSRLY制度が適用され、例えば親法人で生じた繰越欠損金は親法人で生じた所得としか相殺出来ない仕組みとなっています。

元々はアメリカの連結納税制度にあった考え方であり、それを踏襲したために英単語の頭文字を並べたルール名となっています。税務用語としては珍しいですよね。

なお、現行制度(2021年9月現在)である連結納税制度では、親法人の繰越欠損金にはSRLYルールは適用されません。親法人の制度開始前の繰越欠損金は、制限なく連結所得金額から控除することが出来ていましたが、グループ通算制度へ移行するとこの税務メリットは受けられなくなります。

【イメージ図】

受取配当等の益金不算入制度

受取配当等の益金不算入制度はグループ通算制度への移行に併せて見直しがされています。

連結納税制度ではグループ全体で益金不算入額を計算していましたが、見直し後の制度内容は以下となります。

イ :関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の4%(その事業年度において支払う負債利子の額の10%を上限とする)とする。

ロ :連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定については、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等により行う。

ハ: 短期保有株式等の判定については、各法人で行う。

なお、グループ通算制度を適用しない場合は下記の取り扱いとなります。

(グループ通算制度を適用する場合としない場合の中立性・公平性の観点から)

イ:関連法人株式等や非支配目的株式等に該当するか否かの判定は、100%グループ内の法人全体の保有株式数等により行う。→保有割合の計算が単体ベースから100%グループベースに変更

ロ:関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額(その事業年度において支払う負債利子の額の 10%相当額を上限)とする。→概算的な計算方法に変更

外国税額控除

グループ通算制度を適用した場合における外国税額控除額は、連結納税制度と同様に通算グループ全体(各通算法人の所得金額、国外所得金額及び法人税額の合計額)で税額控除額を計算します。

(1)控除限度額の計算

外国税額控除の控除限度額とは、次の算式により計算した金額をいいます。なお、調整前控除限度額がゼロを下回る場合にはゼロとなります。

控除限度額=調整前控除限度額 − 控除限度調整額

(2)調整前控除限度額の計算

上記(1)の調整前控除限度額とは、次の算式により計算した金額をいいます。

具体的な数値を使った設例が国税庁のホームページに掲載されているので、詳細はリンク先を確認してみてください。

(国税庁ホームページ:グループ通算制度のQ&A 問73)

通算法人に対する交際費等の損金不算入制度の適用 |国税庁

 

なお、外国税額控除については損益通算・欠損金の通算で採用される遮断措置はなく、修正が生じた際にはグループ全体で再計算を実施し、当初金額との差額を進行年度の法人税額に加算又は控除しますので留意が必要です。

試験研究費に係る税額控除

グループ通算制度を適用した場合における試験研究費に係る税額控除は、連結納税制度と同様に通算グループ全体で計算した税額控除限度額と控除上限額の内、いずれか少ない金額を、通算法人の調整前法人税額の比で按分して計算します。

グループ内に多額の試験研究費を支出している法人があれば、企業グループ全体として節税効果を受けることが出来る場合があります。

こちらも具体的な数値を使った設例が国税庁のホームページに掲載されているので、詳細はリンク先を確認してみてください。

(国税庁ホームページ:グループ通算制度のQ&A 問70)

貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合における法定繰入率の取扱い|国税庁

試験研究費の税額控除について修正が生じた場合は、グループ内の他の法人の税額控除額には影響させない仕組みとなっておりますので、損益通算・欠損金の通算で採用される遮断措置に準じた取り扱いとなります。

まとめ

如何でしたでしょうか。

グループ通算制度を採用しない場合であっても取り扱いが変更となる論点もありますので、制度の採用・不採用に関わらず留意が必要です。

税制改正による影響は色々なところに出てきますのでキャッチアップが大変ですが、一つ一つ確認していきましょう。

以下、本日のポイントまとめです。

・グループ通算制度では親法人、子法人ともにSRLYルールが適用される。(連結納税制度では、親法人の繰越欠損金は対象外だった)

・受取配当等の益金不算入制度は、グループ通算制度を適用しない場合においても見直しがなされている

・グループ通算制度における外国税額控除額は通算グループ全体で計算される。

・グループ通算制度における試験研究費の税額控除額は通算グループ全体で計算される。

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問については、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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