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【わかりやすく】タックス・ヘイブン対策税制について解説〜適用対象となる会社とは

法人税

みなさん、こんにちは。

今回はタックス・ヘイブン対策税制(以下、タックス・ヘイブン税制)について解説していきます。「タックス・ヘイブン」について聞いたことがあるけど、タックス・ヘイブン税制については詳しく知らないという方も多いと思います。

海外に子会社がある会社の場合、この税制によって子会社の所得を合算して申告しなければいけないケースも出てきます。

今回はどのようなケースがタックス・ヘイブン税制の対象になるのか、わかりやすく解説していきますので申告漏れが起きないようにぜひチェックしてみて下さい!

前回の記事では投資促進税制について解説をしていますので、興味のある方はこちらもどうぞ。

タックス・ヘイブン対策税制とは

まずはタックス・ヘイブン税制の概要について説明します。

タックス・ヘイブン税制とは外国子会社合算税制、CFC(Controlled Foreign Company)税制とも呼ばれ、タックス・ヘイブンに所在する海外子会社を利用した租税回避行為を防止するために制定されている税制です。

税金のかからない(もしくは税率の低い)タックス・ヘイブンの国に海外子会社を設立することで、法人税負担を逃れようとする会社があったため、1978年にこの制度が創設されています。

タックス・ヘイブン税制の対象となる海外会社についてはその会社の利益を、日本の親会社に配当されたものとみなして所得を合算した上で、日本の親法人が法人税を申告する必要があります。

タックス・ヘイブン税制が適用されるのは、内国法人等が外国関係会社の株式等の10%以上を直接及び間接保有している場合、又は実質支配している場合などとされています。

【外国関係会社】
外国法人のうち、発行済み株式総数の50%超を内国法人等に保有されているケース
 又は
外国法人のうち、内国法人等が実質支配しているケース

タックス・ヘイブン対策税制の対象

それではどのような場合にタックス・ヘイブン税制の対象となるのかを確認していきましょう。

具体的には海外子会社が以下の要件を満たした場合に、日本の親法人の所得と合算を行う必要が生じます。

①特定外国関係会社(ペーパーカンパニー、事実上のキャッシュボックス、ブラックリスト国所在会社)で税負担割合が30%未満の場合

②特定外国会社以外かつ経済的活動基準を満たさない会社で税負担割合が20%未満の場合

また、上記②の経済的活動基準を満たす会社であっても、税負担割合が20%未満の場合には一定の受動的所得(配当・利子などの自ら積極的に活動しなくても得ることが出来る所得)を、日本の親法人と合算を行う必要があります。

図にまとめると以下のようになります。

まずは海外子会社の租税負担割合が30%未満となっていないか、その次に特定外国子会社に該当するかを判断していき、特定外国子会社以外の場合には経済的活動基準を満たすか否かを判断していきます。

判断ポイントが複雑ですので、基準となる租税負担割合と合わせてきちんと確認することが重要です。

特定外国関係会社とは

続いて、特定外国関係会社の判定について具体的に確認していきましょう。

タックス・ヘイブン税制の適用にあたっては、対象の外国法人が特定外国関係者に該当するか否が非常に重要となります。

「特定外国関係会社」の区分は2017年度税制改正時に設けられた区分で、ペーパーカンパニー、事実上のキャッシュ・ボックス、ブラックリスト国所在会社の3つが該当します。

【ペーパーカンパニー】

ペーパーカンパニーとは文字通り実態のない会社のことを指し、具体的には以下のいずれにも該当しない外国関係会社のことをいいます。

①実体基準

その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有している。

②管理支配基準

その本店または主たる事務所の所在する国または地域(本店所在地国)においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っている。

実基準の判定に当たっては、外国関係会社が固定施設を有していても、それが主たる事業に係る活動を行うために使用されるものでない場合には、基準を満たさないことに留意が必要です。

また、管理支配基準は具体的には以下の要素を含めた状況を総合勘案した上で判定を行う必要があります。

・株主総会及び取締役会等の開催
・事業計画の策定等
・役員等の職務執行
・会計帳簿の作成及び保管等が行われている場所

【事実上のキャッシュ・ボックス】

キャッシュボックス・とは軽課税国の利用を目的とし、豊富な資本を持ちながら能動的な事業遂行及びリスク管理機能を持たない会社のことをいいます。

以下のいずれにも該当すると、事実上のキャッシュ・ボックスとみなされます。

①受動的所得基準

「一定の受動所得」÷「総資産」が30%超となること

②資産基準

「有価証券、貸付金、貸付用有形固定資産、無形固定資産の合計」÷「総資産」が50%超となること

利子や配当といった受動所得の割合が高い会社、金融資産等の割合が高い会社が事実上のキャッシュ・ボックスとなるということですね。

【ブラックリスト国所在会社】

ブラックリスト国所在会社とは、「租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域」に本店又は主たる事業所を有する会社をいいます。

OECDのブラックリストに掲載された国や地域が財務大臣に指定されるものと考えられます。

上記のいずれかに該当すれば「特定外国関係会社」となり、その会社の租税負担割合が30%未満の場合には合算課税の対象となります。

経済活動基準とは

続いて、特定外国関係会社以外の会社において判断を要する「経済活動基準」について説明していきます。

租税負担割合が20%未満の特定外国関係会社以外の会社については「経済活動基準」を全て満たすか否かにより、合算課税もしくは受動的所得の合算課税が課されます。

経済活動基準は、外国関係会社が「能動的所得」を獲得するために必要な経済活動の実体を備えているかどうかを判定するための基準です。

具体的には必須の要件として(1)事業基準、(2)実体基準、(3)管理支配基準があり、さらに(4)非関連者基準又は所在地国基準のいずれかを満たす必要があります。

経済活動基準の判定は、外国関係会社の事業年度ごとに、その事業年度を通じて行う必要があります。

(1)事業基準

事業基準とは、外国関係会社の主たる事業が以下の事業には該当しないことを確認する基準です。

①株式等又は債券の保有

②工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式もしくはこれらに準ずるもの又は著作権の提供

③船舶又は航空機の貸付け

主たる事業が株式の保有であったり、航空機の貸付けである会社は事業基準を満たさないこととなります。

(2)実体基準

実体基準とは、外国関係会社が、その本店所在地国においてその主たる事業を行うために必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有していることを確認する基準です。

この基準を充足するかどうかは外国関係会社の主たる事業の業態や業種、主たる事業に係る活動を踏まえて判定する必要があります。

(3)管理支配基準

管理支配基準とは、外国関係会社が、その本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っていることを確認する基準です。

実体基準と管理支配基準は前述のペーパーカンパニーの判定基準と同様の内容となります。

(4)非関連者基準

非関連者基準とは、外国関係会社がその事業を主として関連者以外との間で行っていることを確認するもので、外国関係会社の主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は物品賃貸業の場合に適用されます。

(4)所在地国基準

所在地国基準とは、外国関係会社がその事業を主としてその本店所在地国において行っていることを確認するもので、外国関係会社が行う主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は物品賃貸業以外の場合に適用されます。

(4)の非関連者基準と所在国基準についてはいずれかを満たす必要があります。

まとめ

如何でしたでしょうか。

タックス・ヘイブン税制については対象となる海外子会社の特定が重要です。以下のポイントを押さえて適切に判断が行えるようにしましょう。

・外国関係会社の租税負担割合が30%を下回っているか

・特定外国関係会社(ペーパーカンパニー、キャッシュ・ボックス、ブラックリストカンパニー)に該当するか否か

・経済活動基準(事業基準、実体基準、支配管理基準等)を満たすか否か

個別のご質問があれば質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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