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【わかりやすい】連結会計について解説③〜連結会社間取引の連結仕訳について

M&A

今回も連結会計について解説をしていきたいと思います。

現在、連結会計について①〜③に分けて解説を行なっていますので、前回の記事をまだ見ていない方はそちらも是非チェックしてみてください。

今回は、連結仕訳のうち、連結会社間で取引を行なった場合に生じる連結仕訳について解説をしていきたいと思います。連結会計の解説①、②と合わせ、連結会計の基本的な論点となりますので連結会計を基礎から理解したい方は是非チェックしてみてください。

連結会社間取引の連結仕訳

連結会社間で取引を行なった場合に必要な連結仕訳として下記の連結仕訳があります。

・債権債務の相殺消去
・未実現利益の消去
・連結会社間の取引高の相殺消去

■ 債権債務の相殺消去
親会社と子会社間で債権債務を有している場合に連結財務諸表作成上、その債権債務の相殺消去を行う必要があります。例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、親会社の個別財務諸表上、子会社に対する「買掛金」が計上されています。一方で子会社の個別財務諸表上、親会社に対する「売掛金」が計上されており、これら親子間の債権債務の相殺消去を行う必要があります。

■ 未実現損益の消去
例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、子会社は利益をのせて親会社に商品やサービスを販売しています。この場合、子会社の個別財務諸表上では、利益を計上しても問題ありませんが、連結グループでみた場合、親会社への販売は利益が実現していない(単なる内部での移動となる)ことからこの利益のことを「未実現利益」といい、この「未実現利益」の消去を連結財務諸表上は行う必要があります。

■ 連結会社間の取引高の相殺消去
こちらは債権債務の相殺消去と似ていますが、親子会社間で行なった取引について相殺消去を行う必要があります。例えば、親会社が子会社から商品やサービスを購入している場合、親会社の個別財務諸表上、子会社に対する「売上原価(仕入)」が計上されています。一方で子会社の個別財務諸表上、親会社に対する「売上」が計上されており、これら親子間の取引の相殺消去を行う必要があります。

連結財務諸表は、連結グループとしての財務諸表のため、連結会社間で生じた取引については内部取引として相殺消去しなければならないのです。

連結会社間における債権債務・取引高の相殺 設例

連結会社間の債権債務の相殺消去、取引高の相殺消去について設例で解説を行なってきます。

設例 親子会社間で売上取引を行なっている場合

<前提条件>
ア.P社はS社株式60%をX1 年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1 年3月31日1,000である。
ウ.X2 年3月31日にS社からP社へ商品の販売(売上高500 売上原価300)を行なった。
エ.なおP社がS社から購入した商品についてはX2 年3月31日に在庫としてP社が保有している。
オ.X1 年4月1日にP社からS社へ利率5%で貸付1,000を行なった。

(X2 年3月31日 個別貸借対照表)

P社貸借対照表
その他資産 6,800
貸付金 1,000 (S社宛て1,000)/
買掛金 2,000 (S社宛て500)
その他負債 3,000
資本金 1,500
繰越利益剰余金 1,300
P社損益計算書
売上高 5,000
売上原価 3,000
売上総利益 2,000
受取利息 50 (S社宛)
その他費用 1,050
当期純利益 1,000
S社貸借対照表
売掛金 1,000 (P社宛て500)
その他資産 2,300 /
借入金 1,000
その他負債 1,500
資本金 500
繰越利益剰余金 300
S社損益計算書
売上高 3,000
売上原価 1,800
売上総利益 200
支払利息 50 (P社宛)
その他費用 50
当期純利益 100

■ 連結仕訳 (連結会社間の債権債務の相殺消去)
連結財務諸表作成の手順として、各社の個別財務諸表の合算を行います。
親会社であるP社と子会社であるS社の個別財務諸表について合算をしますが、各社の個別財務諸表には連結会社間の取引によって生じた勘定が計上されていますので、内部取引として消去を行います。

(借方)(貸方)
買掛金  500売掛金  500
(借方)(貸方)
借入金  1,000貸付金  1,000

■ 連結仕訳 (連結会社間の取引の相殺消去)
債権債務の相殺と同様に連結会社間の取引によって生じた勘定が計上されていますので、内部取引として消去を行います。

(借方)(貸方)
売上高  500売上原価  500
(借方)(貸方)
受取利息  50支払利息  50

■ 連結仕訳 (未実現利益の消去)
S社からP社に商品を販売したことにより、S社の損益計算書では、売上500、売上原価300、売上総利益200が計上されています。この取引について、P社が連結外部に商品を販売するまでは、連結内部の取引となるためS社にて計上している利益を未実現利益として消去を行います。
また、P社で保有している在庫(棚卸資産)も本来であればS社の仕入額300で計上すべきところP社の仕入価額500にて計上されていみるため、その差分(利益部分)の消去を行います。

(借方)(貸方)
売上原価  200棚卸資産  200
非支配株主持分80非支配株主に
帰属する当期純利益
80

S社からP社に販売を行なった取引についてS社の利益を消去したことから、この利益の減少はS社の非支配株主にも影響します。
そのため、未実現利益の消去のうち、非支配株主に係る割合(40%部分)を非支配株主持分の減少となります。

未実現利益の消去

連結仕訳のうち、未実現利益の消去について設例にて少し触れました。

未実現利益の消去については以下の2つのパターンがあります。

・親会社から子会社への販売・・・ダウンストリーム
・子会社から親会社への販売・・・アップストリーム

ダウンストリームとアップストリームの違いは、非支配株主がいる場合に会計処理が異なります。


アップストリームの場合(子会社から親会社に販売を行う場合)、利益が計上されているのは子会社となります。そのため、未実現利益の消去を連結仕訳にて行なった場合、子会社の利益が減少することとなり、非支配株主がいる場合には非支配株主の持分減少も反映させなければなりません。

そのため、非支配株主がいる場合のアップストームの処理については留意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は連結会計の連結会社間で取引を行なった場合の処理について解説をしました。

連結会計についての解説①〜③については連結会計の基本となる箇所のため是非通してチェックしてみてください。これが理解できれば連結会計の基礎については完璧です!

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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