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【わかりやすい】組織再編税制について解説〜組織再編税制の概要と税制適格の要件について

M&A

組織再編は、合併、事業の分割や統合、株式交換、株式移転などにより会社組織を再編することをいい、組織再編を検討している会社も最近、特に増えてきています。

組織再編を行う目的は、経営資源の有効活用や事業強化など多岐にわたり、会社の運営方針や管理方法により合併、株式交換など様々な形式が用いられます。

今回は、そんな組織再編の税務に着目し、組織再編税制の概要と、税制適格要件について解説していきたいと思います。

組織再編の会計上の処理については①〜⑥に分け、前回まで解説を行っていますので、そちらも是非チェックしてみてください。

組織再編税制とは?

組織再編税制とは、組織再編に係る課税制度のことをいいます。

一般的に、資産及び負債がそのまま引き継がれたとしても所有者が変更された場合には、法人税法上は、時価で譲渡したこととなるのがが原則です。

しかし、すべての組織再編において時価評価に伴う課税がなされた場合、組織再編を行うたびに、多額の税金が発生し、課税が足かせとなって適切な組織再編行為が阻害される恐れがあります。

適切な組織再編が阻害されないようにするために、一定の要件を満たす組織再編(適格組織再編成)については、資産・負債を簿価で引き継ぎ、課税関係を継続させ、課税が生じないように優遇措置が取られています。

このような組織再編税制の税制適格に対する取扱いは、組織再編の前後で経済実態に実質的な変更がない、即ち、移転資産に対する支配が再編後も継続していると認められる場合には、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べるべきという考え方に基づいています。

税制適格組織再編成とは?

組織再編のうち、資産・負債を簿価で引き継ぎ、課税関係が生じないように優遇措置が取られているものを税制適格組織再編成といいます。

税制適格組織再編成の要件の概要は、次の通りとなっています。

種類 内容
適格分割

(1)企業グループ内での再編
(2)共同事業を行うための再編

※いずれも株式以外の資産が交付されない場合に限る

適格分割型分割
適格分社型分割
適格現物出資
適格株式交換
適格株式移転
適格現物分配 100%グループ内での現物分配

では次から組織再編の種類ごとに適格要件の詳細について確認していきましょう。

適格合併の要件

適格合併とは、被合併法人の株主等に合併法人の株式又は合併親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されない合併で、次のいずれかの要件を満たすものをいいます。

① 被合併法人と合併法人との間に完全支配関係(100%の保有関係)がある場合

② 被合併法人と合併法人との間に支配関係(50%超の保有関係)がある場合

③ 共同で事業を営むための合併の場合

① 被合併法人と合併法人との間に完全支配関係(100%の保有関係)がある場合
→被合併法人と合併法人との間に次のいずれかの関係がある場合をいいます。

いずれか一方の法人による完全支配関係がある場合
同一の者による完全支配関係があり、合併後にその同一の者と合併法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続すると見込まれる関係

⑴は、完全支配関係にある親子会社間での親子合併が該当し、⑵は、完全支配関係にある子会社同士の合併が該当します。

② 被合併法人と合併法人との間に支配関係(50%超の保有関係)がある場合
→上記①の⑴又は⑵の関係が50%超である合併で、さらに次の全ての要件を満たす場合をいいます。

被合併法人の合併直前の従業者の概ね80%以上が合併法人の業務に従事する見込みであること
被合併法人の主要な事業が合併法人において引き続き営まれる見込みであること

③ 共同で事業を営むための合併の場合
→この場合には、次の全ての要件を満たさなければなりません

被合併法人と合併法人の事業に関連性があること
被合併法人と合併法人の事業の売上金額、従業者数等の規模の割合がおおむね5倍を超えないこと、又は、特定役員(社長など)の引継ぎがあること
被合併法人の合併直前の従業員者のおおむね80%以上が合併法人の業務に従事する見込みであること
被合併法人の主要な事業が合併法人において引続き営まれる見込みであること
被合併法人の株主等で、合併により交付を受ける合併法人の株式又は合併親法人の株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有する見込みである者及び合併法人等が有する被合併法人の株式の合計数が発行済株式等の80%以上であること

【適格要件のまとめ】

要件 企業グループ内 共同事業
完全支配関係100% 支配関係50%超
共通 合併法人の株式又は合併親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと
株式の継続保有     ○(*1)      ○(*1)    ○(*2)
従業者80%以上引継  
主要な事業の引継  
事業の関連性    

事業規模の比較又は
特定社員の引継

   

(*1) 兄弟会社の合併の場合には、合併後も同一の者による株式の継続保有が必要 
(*2) 被合併法人の株主等の数が50人以上である場合には、株式の継続保有は不要

適格分割の要件

適格分割とは、分割対価資産として分割承継法人の株式又は分割承継親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されない分割で、適格合併と同様のいずれかの要件を満たすものをいいます。

このうち、分割型分割に該当するもの(分割対価資産が分割法人の株主にその株主等の有する分割法人の株式の割合に応じて交付されるもの)が適格分割型分割、分社型分割に該当するもの(分割対価資産が分割法人に交付されるもの)が適格分社型分割といいます。

【適格要件のまとめ】

要件 企業グループ内 共同事業
完全支配関係100% 支配関係50%
共通 分割承継法人の株式又は分割承継親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと(分割型分割では、分割法人株主の有する株式数の割合に応じて交付されること)
株式の継続保有    ○(*)
分割事業に係る主要な資産・負債の移転  
従業者80%以上引継  
分割事業の引継  
事業の関連性    
事業の規模の比較又は特定役員の引継    

(*) 分割法人の株主等の数が50人以上である分割型分割では、株式の継続保有は不要

適格現物出資の要件

適格現物出資とは、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付される現物出資で、適格合併の要件と同様のいずれかの要件を満たすものをいいます。

【適格要件のまとめ】

要件 企業グループ内 共同事業
完全支配関係100% 支配関係50%超
共通

① 被現物出資法人の株式のみが交付されること
② 外国法人へ国内財産を現物出資するものでないこと(*)
③ 新株予約権の行使に伴う社債の給付でないこと

株式の継続保有
現物出資事業に係る主要な資産・負債の移転  
従業者80%以上引継  
現物出資事業の引継  
事業の関連性    
事業規模の比較又は特定役員の引継    

(*) 外国法人に対して持続割合25%以上の外国法人の株式を現物出資した場合には、たとえ国内の事業所に属する財産であっても適格現物出資資産の対象になります。

適格株式交換の要件

適格株式交換とは、株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されない株式交換で、適格合併の要件と同様のいずれかの要件を満たすものをいいます。

【適格要件のまとめ】

要件 企業グループ内 共同事業
完全支配関係100% 支配関係50%超
共通 株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと
株式の継続保有

   ○(*)

従業者80%以上引継  
主要な事業の引継  
事業の関連性    

事業規模の比較又は特定役員の引継

   

(*) 完全子法人の株主等の数が50人以上である場合では、株式の継続保有は不要

適格株式移転の要件

適格株式移転とは、株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親会社親法人の株式以外の資産が交付されない株式移転で、適格合併の要件と同様のいずれかの要件を満たすものをいいます。

要件 企業グループ内 共同事業
完全支配関係100% 支配関係50%超
共通 株式移転完全親法人の株式以外の資産が交付されないこと
株式の継続保有    ○(*)
従業者80%以上引継  
主要な事業の引継  
事業の関連性    
事業規模の比較又は特定役員の引継    

(*) 完全子法人の株主等の数が50人以上である場合では、株式の継続保有は不要

適格現物分配の要件

適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、資産の移転を受けるものがその現物分配の直前においてその内国法人との間に完全支配関係がある内国法人のみであるものをいいます。

他の適格組織再編成と異なり、現物分配については100%支配関係がある法人間の分配のみが適格となります(この場合の他の条件はありません)。

まとめ

今回は、組織再編税制の概要と税制適格の要件について解説しました。

個別のご質問についてはコメント欄、質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは!

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