みなさん、こんにちは。
今回は令和4年度税制改正大綱の解説4回目です。
オープンイノベーション促進税制や5G導入促進税制、地方拠点強化税制などの目新しい法人税関連の改正をわかりやすく説明していきます。
名前だけは聞いたことあるけどどんな税制かよくわからない、という人はぜひチェックしてみて下さい。
なお、前回の記事では株式配当に関する改正を取り上げていますので、興味のある方はこちらもどうぞ。
オープンイノベーション促進税制の拡充
まず、今回見直しが行われているオープンイノベーション促進税制とは、そもそもどのような税制であるか説明していきます。
現行のオープンイノベーション促進税制とは、事業会社から一定のスタートアップ企業に対する出資について、その投資額の25%相当額を特別勘定として経理処理することで同額の所得控除(損金参入)が可能な制度です。
※所得控除には以下の上限があります。
【所得控除上限額】 ■1件あたり25億円以下 ■なお、同一事業年度において125億円以下
今回の改正では、オープンイノベーション促進税制の適用を受けられるスタートアップ企業の要件が緩和された他、益金参入対象期間についても短縮されることとなりました。
具体的には下表の通りです。
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/286eb13dd491ec281d9cc793a75be133.png?resize=975%2C228)
なお、制度の適用期限は2024年(令和6年)3月31日までとなります。
5G導入促進税制の見直し
5G導入促進税制とは、安全性・信頼性が確保された5G設備の導入を促す観点から制定された税制であり、現行では2年間の時限措置となっています。
認定特定高度情報通信技術活用設の取得又は製作若しくは建設をし、国内の事業の用に今日した場合にその事業年度において、特別償却と税額控除のいずれかの優遇措置を受けることが出来ます。
経済産業省のホームページより(https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2022/zeisei_r/pdf/1_02.pdf)
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/b449e9320a441c508f50e5d81ed4d7d5.png?resize=985%2C359)
今回の改正では、より効果的に5Gインフラを整備するための所要の見直しを行なった上で適用期限が3年間延長されることとなります。
見直しの詳細は下表にてご確認下さい。
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/9d6f0c575a826065885a6d82b822ef88.png?resize=1024%2C647)
適用期間が3年間延長されたものの、年を追うごとに税額控除率が小さくなっていきますので、この点は留意が必要です。
なるべく早めに対応しておいた方が税務メリットが受けられそうですね。
地方拠点強化税制の見直し
続いて、地方拠点強化税制の見直しについてです。
コロナ禍において、リモートワークの増加から地方移転への関心は高まっており、実際に人材派遣大手のパソナが本社機能を淡路島へ移転したりしています。
東京一極集中を是正する観点から、地方拠点強化税制につき、「雇用者増加要件の撤廃」、「対象施設への情報サービス事業部門の追加」などの見直しを行なった上で2年間延長されることとなります。
【地方拠点強化税制の概要】 企業が本社機能(特定業務施設(※1))の全部又は一部を地方へ移転する場合や、地方拠点の強化を行う場合に建物の取得価額や雇用社増加数に応じた税額控除等を受けることができる制度。
※1:特定業務施設とは、事務所、研究所、研修所で、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に基づき整備される施設。
(内閣府「令和4年度 内閣府税制改正要望」より)
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/e13419ee134ed42c8db946ae80b51a4d.png?resize=884%2C550)
今回の改正では、地方拠点強化税制のうち、以下の3点について見直しがなされました。
①地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定要件 ②オフィス減税に関する見直し ③雇用促進税制に関する見直し
【①地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定要件】
地方拠点強化税制の適用には、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定を受ける必要があり、当計画の認定要件につき下表の通り改正がされます。
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/80b2f6aac1e5ddc97f7e46fcb8fa6e7a.png?resize=1024%2C435)
【②オフィス減税に関する見直し】
特定業務施設の新設もしくは増設に際して取得した建物について以下の税額控除を受けることが出来ますが、対象資産や認定期限について改正がなされます。
・特別償却:特定業務施設の取得価額×25%(拡充型は15%) ・税額控除:特定業務施設の取得価額×7%(拡充型は4%) ※税額控除の限度額は法人税額等の20%
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/df2b83bb981abc0640753e1ecd8b9df3.png?resize=1024%2C309)
【③雇用促進税制に関する見直し】
特定事業施設において新たに雇用した従業員等については法人税等の税額控除の適用を受けることが可能です。
この点について、下記の通り要件の見直しが行われています。
![](https://i0.wp.com/asonekaikei.com/wp-content/uploads/2022/02/35448fc96d22097a60eec50e31b8f991.png?resize=1024%2C472)
雇用者増加要件や離職者に関する要件が撤廃されておりますので、税務メリットを受けやすくなっています。
まとめ
如何でしたでしょうか。
オープンイノベーションや5G税制、地方拠点強化税制に関しては利用できる企業も限定的になりますが、今回の改正で適用期間の延長や各種要件の見直しが行われ、今後も活用の機会がある税制です。
税制をきちんと理解して制度のメリットを十分に受けられるようにしておきましょう。
個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!
ではでは。
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