G-X0MQHQND78

【わかりやすく!】本支店会計について解説〜支店独立会計制度を中心に

会計

みなさん、こんにちは。今回は本支店会計について解説をしていきます。本店と支店それぞれで帳簿を作成している場合は本支店会計を適用して、本店と支店合算ベースの決算書を作成する必要がありますよね。

本支店会計には特殊なルールがあり、簿記を勉強している方の中にも苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

そんな本支店会計をわかりやすく解説していきますので、経理をご担当されている方や簿記の試験を受験予定の方はぜひチェックしてみて下さい。

なお、海外の支店の換算方法については前回記事で解説済みですので、海外支店の取り扱いを知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

本支店会計とは?

本支店会計とは本店と支店を有している会社において、各支店ごとに決算書を作成している場合に全拠点合算ベースの決算書を作成する場合に適用する会計処理のことを言います。

国内や海外に支店を構えている会社では、各支店ごとに決算書を作成して採算管理を行なっている場合も多いため、この本支店会計が必要となるわけです。

本店と支店でそれぞれ決算書を作成しているのなら、合算して終わりでは?と考える方もいるかと思いますが、「内部利益の除去」を行うことがポイントとなります。内部利益とは、本店と支店との間で売上や仕入れが発生している場合に、そこから生じる利益のことで、内部利益は対外的な利益ではないため、最終的な決算書の作成にあたって控除する必要があります。

「本店と支店の決算書を合算した上で、内部利益を除去する」というのが本支店会計の基本的な考え方になりますのでまずはこの考え方を押さえて下さい。

なお、親会社と子会社の決算書を合算する「連結会計」とは異なるので注意しましょう。

支店の場合は「本支店会計」、子会社の場合は「連結会計」が適用されます。「連結会計」については別記事で解説を行なっているので、よろしければこちらも確認してみて下さいね。

本店集中会計制度と支店独立会計制度について

本支店会計の帳簿の作成方法には本店集中会計制度支店独立会計制度の2つの方法があります。本店集中会計制度では本店で支店分の取引についても帳簿を作成するのに対し、支店独立会計制度では各支店で独自に帳簿の作成を行い、支店間の取引については本店の帳簿への記帳は行いません。

本店集中会計制度
支店同士の取引は全て本店を間に介して行なったものとみなして記帳をする方法です。支店間の取引についても本店で一括管理を行うことが可能となります。
支店独立会計制度
支店間の取引について、それぞれの支店が直接他の支店と取引をしたものとして記帳を行い、各支店で帳簿の作成を行う方法。各支店単位で業績管理が行うことができますが、最終的に各支店の財務諸表を合算する必要があります。

本店集中会計制度では、各支店間で行われる取引についても本店で記帳されるため、決算整理に当たって特段の論点は出てきませんが、支店独立会計制度を採用している場合には未達取引の処理や内部利益の控除といった特殊な処理が必要となってきます。

本記事では支店独立会計制度について、支店間の取引の処理方法、決算整理方法を解説します。

本店・支店間、支店間取引の処理

支店独立会計制度を採用している場合、本店と支店の間及び異なる支店間で取引が発生した場合には以下のように記帳を行います。

■本店・支店間の取引の処理

本店が商品1,000円を大阪支店に送付し、大阪支店が受け取った場合

本店の仕訳
本店から大阪支店に商品を送付していますので、本店では仕入の減少として処理し、相手勘定には支店勘定を使用します。
勘定科目借方勘定科目貸方
大阪支店1,000仕入1,000
支店の仕訳
支店では仕入の増加として処理し、相手勘定には本店勘定を使用します。
勘定科目借方勘定科目貸方
仕入1,000本店1,000

■異なる支店間の処理

大阪支店が商品1,000円を横浜支店に送付し、横浜支店が受け取った場合

大阪支店の仕訳
本店・支店間の取引の仕訳と同様、仕入の減少として処理し、相手勘定には支店勘定を使用します。
勘定科目借方勘定科目貸方
横浜支店1,000仕入1,000
横浜支店の仕訳
本店・支店間の取引の仕訳と同様、仕入の増加として処理し、相手勘定には支店勘定を使用します。
勘定科目借方勘定科目貸方
仕入1,000大阪支店1,000

未達取引の処理

未達取引とは本店では支店に送付した商品の仕訳を起票したにも関わらず、支店側で商品を受け取っていないために仕訳の起票を行なっていない状況を言います。

本店・支店間で本店勘定と支店勘定の貸借が一致しないため、これを合わせにいく必要がありますよね。

例えば期末日に本店から商品を送付したところ、到着までに2日かかったために支店側での商品受け入れが翌事業年度になってしまった場合に発生します。

本店・支店間の仕訳の不一致は決算整理仕訳で直すこととなります。

21年3月31日に本店が商品1,000円を大阪支店に送付し、21年4月2日に大阪支店に到着した場合

(3月決算を前提とします)

本店の仕訳
本店では既に記帳済みであるため、決算整理時の仕訳は不要となります。
大阪支店の仕訳
大阪支店では期末日に商品が到着していなくとも、本店からの通知に基づいて仕入の増加の仕訳を起票します。
勘定科目借方勘定科目貸方
仕入1,000本店1,000

内部利益の控除の処理

例えば本店から支店に商品を送付する際、仕入金額に利益を上乗せして社内売上として処理することもできます。

この時の利益はあくまで会社内部で発生しているものであるため、該当の商品が得意先に販売されない限りは会社の利益にはなりませんよね。

期末時点で本店もしくは支店で保有している在庫に社内売上の利益が含まれている場合には、決算整理で内部利益の控除を行う必要があります。

内部利益の控除は期首棚卸資産及び期末棚卸資産から控除する形で処理します。

本店から大阪支店に20%の利益を上乗せして商品を送付している。

大阪支店の期首棚卸資産に含まれる内部利益は200円、期末棚卸資産に含まれる内部利益は300円であった。

決算整理時の仕訳
期首棚卸資産に含まれる内部利益は当事業年度に実現したものと考え、内部利益の戻入れを行います。一方、期末棚卸資産に含まれる内部利益は会社の利益ではないため、内部利益の控除を行います。

■期首棚卸資産に係る仕訳

勘定科目借方勘定科目貸方
繰延内部利益200繰延内部利益戻入200

■期末棚卸資産に係る仕訳

勘定科目借方勘定科目貸方
繰延内部利益控除300繰延内部利益300

まとめ

如何でしたでしょうか。本支店会計は簿記の試験でも頻出の論点となりますので、しっかりポイントを押さえて連結会計と混同しないように注意しましょう。

今回のポイントをまとめると以下となります。

・本支店会計には本店集中会計制度と支店独立計算制度の2種類がある

・本支店間の取引の仕訳は、本店では「支店」勘定を使い、支店では「本店」勘定を使う

・本店・支店間及び異なる支店間で未達取引が発生した場合には決算整理で調整し、「本店」勘定と「支店」勘定の貸借を一致させる

・内部利益の控除は、期首棚卸資産と期末棚卸資産それぞれに含まれる内部利益を調整する

不明点があればいつでもお問い合わせください。個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

コメント

タイトルとURLをコピーしました