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【わかりやすく】タックス・ヘイブン対策税制について解説②〜合算課税の方法・留意点

法人税

みなさん、こんにちは。

今回はタックスヘイブン対策税制に関して合算課税の方法や留意点を中心に解説していきます。

タックスヘイブン対策税制の対象となる外国関係会社は会社単位で所得合算を行う必要があります。適用対象金額や合算課税のタイミング、パススルー課税が行われている時の留意点など、所得合算を行う上で押さえておくべきポイントがありますので一緒に確認していきましょう。

前回の記事でタックスヘイブン税制の概要や適用対象となる会社について解説していますので、ぜひこちらもチェックしてみて下さい。

会社単位の合算課税の概要

外国関係会社の内、以下に該当するものはタックスヘイブン対策税制の中で「会社単位の合算課税」を要する会社となります。

■租税負担割合が30%未満の特定外国関係会社
■特定外国関係会社以外で経済活動基準のいずれかを満たさない会社(租税負担割合20%)

合算課税の対象の計算方法としては、まず外国関係会社の「決算所得」に一定の調整を加え「基準所得金額」を算出し、繰越欠損金等の調整を行って「適用対象金額」を求めます。

最後に適用対象金額へ株式保有割合を乗じて算出されるのが「課税対象金額」となります。

①決算所得金額

外国関係会社の各事業年度の決算に基づく所得の金額

②基準所得金額

決算所得金額に以下の計算方法(いずれか)により調整を加えた金額

・日本の法人税法及び租税特別措置法の規定に準じて計算し直す

・「特定外国関係会社又は対象外国関係会社の本店所在地国の法人所得税に関する法令の規定」により計算した所得金額に一定の調整を加える

③適用対象金額

基準所得金額から以下を控除して計算した金額

・繰越欠損金の額

・特定外国関係会社又は対象外国関係会社が納付する法人所得税の額

④課税対象金額

会社単位の合算課税の対象であり、以下の方法で算出した金額

・適用対象金額×株式等の保有割合(実質支配関係がある場合には株式等の保有割合に関わらず、100%となります)

合算課税のタイミング

外国関係会社の決算期によっては合算課税の対象となる所得の事業年度が異なります。

タックスヘイブン対策税制の適用タイミングは、「外国関係会社の事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過する日」を含むその内国法人の各事業年度において合算されることとなります。

少しややこしいので、具体的な決算時期のパターンごとに確認していきましょう。

①内国法人:3月決算、外国関係会社:12月決算の場合

内国法人が3月決算で、外国関係会社が12月決算である場合、外国関係会社の2020年12月期の課税対象金額は、(その2ヶ月後の2021年2月末の属する)内国法人の2021年3月期の所得と合算されます。

②内国法人:12月決算、外国関係会社:12月決算の場合

内国法人と外国関係会社がともに12月決算の場合、外国関係会社の2020年12月期の課税対象金額は、(その2ヶ月後の2021年2月末の属する)内国法人の2021年12月期の所得と合算されます。

決算期が同じであったとしても、外国関係会社の事業年度終了の日の2ヶ月後の末日が含まれる事業年度の内国法人の所得と合算することから、1年ズレが発生するわけですね。

同一事業年度の所得を合算しないよう、くれぐれも注意しましょう。

連結納税やパススルー課税が行われている場合

続いて、外国関係会社が連結納税やパススルー課税(※)の対象となっている場合の合算課税の留意点を説明します。

※パススルー課税
パススルー課税とは、法人や組合等において発生した利益に対し、直接当該の法人や組合には課税されず、その利益の分配を受けた出資者等に課税される制度のこと。
パススルー課税の対象としては、有限責任事業組合(LLP)、投資事業有限責任組合(LPS)、任意組合が代表例となります。

基準所得金額を計算するにあたっては、連結納税やパススルー課税に関する規定を除いて計算することとされており、「単体納税制度の規定により計算し直した金額」を元に計算を行います。

具体的には、以下のように計算を行います。

【原則法】

・連結納税の規定の適用を受けている場合、外国関係会社の属する企業集団の所得ではなく、当該外国関係会社の所得に対して法人所得税が課されるものとして再計算

・パススルー課税の規定の適用を受けている場合、外国関係会社の所得をその株主の所得として取り扱わず、当該外国関係会社の所得に対して法人所得税が課されるものとして再計算

【簡便法】

・連結納税やパススルー課税の適用がある場合に計算された所得金額の計算基礎となる書類等に記載された金額を用いて、単体納税制度の規定による所得の金額又はその近似値を算出することができる場合は、その計算する方法も簡便法として認められる。

パススルー課税の場合、所得の計算の金額基礎となる情報申告書や明細書が存在する場合もありますので、当該書類の内容をしっかりと理解して簡便法の計算に利用できるよう、海外子会社の担当者に事前に内容確認を行うことも重要です。

まとめ

如何でしたでしょうか。

今回はタックスヘイブン対策税制の合算課税の具体的な方法や留意点について解説をいたしました。

最後にポイントのまとめです。

・合算課税の計算プロセスは①決算所得金額⇨②基準所得金額⇨③適用対象金額⇨課税対象金額、の順に行う

・タックスヘイブン対策税制の適用タイミングは、「外国関係会社の事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過する日」を含むその内国法人の各事業年度において合算される

(親会社、海外子会社ともに12月決算の場合には1事業年度前の海外子会社の所得を合算する)

・所得金額の計算からは連結納税、パススルー課税の影響は除き、単体納税制度の規定により計算し直す

個別のご質問があれば質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

それでは、さようなら。

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