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【わかりやすい】令和4年度税制改正大綱について解説③〜株式配当関連

所得税

みなさん、こんにちは。今回も令和4年度税制改正大綱について解説をしていきます。

令和4年度税制改正大綱では完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収、上場株式等に係る配当所得への課税に関する見直しがなされています。

それぞれ、具体的な改正ポイントをわかりやすく説明していきますので、ぜひチェックしてみてください。

前回記事では住宅ローン控除の改正について解説していますので、興味のある方はこちらもどうぞ。

完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収の見直し

まずは完全子法人等の配当に係る源泉徴収の見直しについて説明します。

現行の制度では、完全子法人等に係る配当等の額の全額及び負債利子を控除した関連法人株式等に係る配当等の額の全額である益金不算入の対象となる配当等については、法人税が課されないこととなっています。

一方で、配当等の支払い時に源泉徴収を行なっているため、以下の事務作業が発生し、納税に係る負担となっていることが会計検査院により指摘されました。

① 源泉徴収義務者における源泉徴収事務
② 税務署における源泉徴収事務
③ 還付金及び還付加算金並びにこれらに係る税務署の還付事務

【現行制度のイメージ図】

 

今回の改正では上記の事務負担軽減のため、次の配当等に係る所得税の源泉徴収は行わないこととなりました。

【源泉徴収が行われなくなる配当】
■ 完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に係る配当等

■ 配当等の支払に係る基準日において、当該内国法人が直接に保有する他の内国法人の株式等(当該内国法人が名義人として保有するものに限る)の発行済株式等の総数等に占める割合が、3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等に係る配当等
【適用時期】
2023年(令和5年)10月1日以降に支払を受ける配当等について適用

【改正後のイメージ図】

本改正における実務上の留意点としては以下が挙げられます。

■ 子法人では、配当等に係る源泉所得税の徴収事務負担がなくなり、親法人は、受取配当等に係る源泉所得税相当額の所得税額控除による還付請求手続による事務負担がなくなる。

■ 源泉所得税の納付による一時的な企業グループからの資金流出がなくなる。

上場株式等に係る配当所得等の課税の特例

続いて、上場株式等に係る配当所得等の課税の特例に関する変更点をお伝えします。

現行制度では、持株割合が3%以上の個人株主(大口株主)が支払いを受ける上場株式等に係る配当等は、源泉徴収された上で、総合課税(累進課税により最大49.44%)となります。

一方で、持株割合3%未満の個人株主は、配当等の受取時に源泉徴収がされた上で、以下の申告方式が選択可能となっています。

①申告不要(源泉徴収のみ)
②申告分離課税で確定申告
③総合課税で確定申告

持株割合はあくまで個人株主のみで判定されるため、当該個人単独の持株割合が3%未満であれば、同族会社である法人を通じて株式を保有するなど、実質的な持株割合が3%以上であっても大口株主とはなりませんでした。

この点がで課税の公平性が保たれていないとして会計検査院より問題視されていました。

今回の税制改正では、上記の大口株主の要件の見直しと報告書の提出が義務付けられることとなります。

【改正の内容】
①大口株主要件の見直し
持株割合が3%未満の個人株主についても、同族会社である法人との合計で3%以上となる場合、その個人株主が支払いを受ける配当につき総合課税とする。

②配当等を支払う内国法人の報告書の提出
上場株式の配当等を支払う内国法人は、以下を記載した報告書を支払確定日から1月以内に所轄税務署長へ提出しなければならない。
■ 持株割合1%以上の個人株主の氏名
■ マイナンバー
■ 株式保有割合 など
【適用時期】
①2023年(令和5年)10月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用
②2023年(令和5年)10月1日以後に支払うべき上場株式等の配当等について適用

【大口要件の見直しに係るイメージ図】

まとめ

如何でしたでしょうか。

完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収制度が廃止されたことは納税者にとってもメリットは大きいですが、上場株式等の配当に係る大口株主要件の見直しに関しては納付税額が増えてしまうケースも多そうですね。

個別のご質問については質問箱(https://peing.net/ja/kaikei_sodan)までよろしくお願いします!

ではでは。

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